2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500256
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宮田 一乗 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (00308355)
|
Keywords | オノマトペ / 記憶想起 / フォント / 対話型遺伝的アルゴリズム / 類似検索 / シズル語 |
Research Abstract |
本研究の目的は,オノマトペを用いた感性情報の画像への埋め込みであり,それを利用した記憶想起への寄与度を調査することである.オノマトペの特性として,少ない文字情報ながら,直感的に情報を伝達できることが挙げられる.本研究の対象は画像情報であり,画像に付与するオノマトペも視覚(文字)情報として取り扱う.この点において,初年度より,オノマトペの伝達効果の促進が期待できるフォントの要素を対象に研究を進めてきた.初年度および次年度では,一般のユーザでも簡便に所望のフォントを探索可能なシステムを提案し,その改良を進めてきた.また,評価実験を通して,提案するシステムの有効性を確かめることができた.この成果に関しては,国内研究会での発表および学術論文として公表している.加えて,記憶想起実験に必要なシステムにて本研究成果を活用するため,提案するフォント探索システムを用いてオノマトペに適したフォントを調査した.その結果,オノマトペに適したフォントの特徴が明らかになった.上記の研究成果から,本研究の目的の一つである「オノマトペに適切な視覚的表現を付与すること」を達成できたと言える. この研究と同時進行で,記憶想起実験の計画を立て,使用する実験機器を全て購入した.すなわち,現段階において記憶想起実験が実施できる状態にある.視覚的表現における研究に重きを置き,記憶想起実験の準備にも時間を要したため,当初の研究計画より研究実施に若干の遅れが生じている.本年度は,これまでの研究成果を有効活用して,迅速に記憶想起実験を進める予定である.それに伴い,研究協力者の人員を増やし,多方面から同時に実験を行い,オノマトペの記憶想起への寄与度を調査する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の一つであった「オノマトペに適切な視覚的表現を付与すること」を,提案するフォント探索手法と,それを用いたオノマトペに適したフォントの調査により実現することができた.これにより,オノマトペの有する意味を効果的に伝達することが期待できる.当初の計画より,実験実施に若干の遅れがあるものの,実験機器の準備および実験計画の再考を重ねた結果,被験者への負担軽減と実験期間の短縮,実験データ収集の効率化が期待できる.本年度は,記憶想起実験に重きを置き,迅速に進めていく予定である.上記の点を考慮すると,本研究はおおむね順調に進展していると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では,オノマトペの記憶想起への寄与度について調査することを目的としている.しかしながら,記憶想起に強く関与する情報については明らかになっていない.したがって,複数の異なる情報(音,感情,触感など)を用いて多角的に調査する必要がある.現在,本研究を実施する研究チームは,記憶想起実験の対象として,日常生活での活動記録(ライフログ),特に食事に着目している.近年の食品パッケージや広告では,シズル語と呼ばれる情報が多用されている.シズル語は,飲食の欲求を誘発し,食品の購買欲求を促す効果がある.すなわち,シズル語は,情報受容者へ大きな影響を与える要素であることが示唆される.また,多くのシズル語には,オノマトペが利用されている.そこで,研究協力者を新たに募り,シズル語を対象とした研究を進める予定である.当然ながら,従来の計画通りに,感情,環境,動作・状態に関するオノマトペを利用した記憶想起実験も進める.上記の通り,多角的な調査によりオノマトペの記憶想起への影響を検証する予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度では,システム構築に遅れが生じたため,評価実験に十分な時間を設けることができなかった.したがって,謝金の支出額が当初の予定よりも少額にとどまり,未使用額が生じている. 次年度では,記憶想起実験を実施する.記憶想起には,様々な事象が人間に影響することが予想されるため,複数の条件下での実験が必要となる.実験には,複数の被験者グループで行うことが予想され,被験者の実験時間も長くなることが考えられる.被験者の貴重な時間を費やすため,そのお礼として謝金を支払う.また,インタビュー調査や予備実験での全ての情報を記録するために,設置型のビデオカメラおよびディジタルカメラとそれらの設置器具を購入する予定である.さらに,記録するデータが膨大になることが予想されるため,外付けハードディスクとそのセキュリティ強化のためのソフトウェアを購入予定である.
|