2014 Fiscal Year Research-status Report
正倉院御物のベクター画像データベース作成と日本人心理に与える影響
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23500259
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
藤野 千代 奈良女子大学, 社会連携センター, 特任教授 (20403321)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 天平文様 / ベクター画像データベース / 文様嗜好性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、正倉院(東大寺境内、宮内庁管轄)に保管され、これまで宮内庁から写真公開されている文様をベクター画像化し、色調変換、部分画像抽出、幾何学的配置変換などを可能とし、そのデザインについての嗜好性を探ることでデザイン指針データを得ることを全体の目標としている。平成26年度は (1)正倉院御物に描かれた文様のベクター画像化 新規に12点を作成。奈良国立博物館から出されている正倉院展目録からの抽出はほぼ終了し、「正倉院宝物染色 上下(1983 正倉院事務所編集)」を基本としたデジタル化へと移行した。 (2)デザイン嗜好性調査としてアンケート回収 130冊についての分析開始。すべてのデータ(1冊あたり 15種×9項目×34頁=4590)を電子化。 (3)天平文様画像データベースの活用として、奈良県と無償提携契約。吉野杉材との調和を考慮された品に利用実績。企業協同にて地域食材を使ったおせち用箱デザイン、文具デザインに応用。 (4)研究成果の積極的PR <1>取材による研究成果の公開(産経新聞 H26.10.17、朝日新聞 H26,10,18、読売新聞 H26.10.30、読売新聞 H26,11,9)<2> Webサイトにあげている文様画像の更新 <3>出版社からの要請に応じ、書籍の発行( ぬりえ 天平文様(しろたえ)H26.9 創元社)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、正倉院に保存される御物から文様を抜き出し、ベクター画像としたのち、色彩等を自由に変更し、アンケート形式で嗜好性を探ることが主目的である。このためベクター画像化する作業としてデザイン数に目標を設定し行ってきた事に関しては、ほぼ目標通りに進んでいるが、アンケート集計において、アンケート項目の多さから、一部の被験者がアンケート内容にすべて「1」を記載といった真に嗜好性を見ることができないものが含まれており、集計作業が難航している。 一方で平成26年度イノベーションコーディネータ賞を、「正倉院の文様・デザインをデータベース化し商品化するなどの多くの実績は、奈良県の地域的な特徴を生かした産業振興につながるコーディネート活動として評価できる」と受賞したことは特筆できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度でのアンケートを概要集計とし、嗜好性に顕著な差異が出るものを抽出。平成27年度に奈良まほろば館(東京日本橋)にて 2週間天平文様に関して展示会を行う機会があり、その会場において再度、アンケート集計を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
平成26年度にアンケート集計により、デザイン嗜好性について方向性を得る予定であったが、アンケート項目が多かったためか、一部の被験者において後半部をすべて「1」と回答するなど、研究使用できないものが見られた。このため、嗜好性に大きな特徴を得ることができる文様を抽出するためのアンケート結果としてとらえ、平成27年度に再調査を行うこととした。平成27年度に奈良県より、天平文様についての展示会を東京情報事務所で約2週間行いたいといった申し出があったことが、再調査実施の決断であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
再調査のデータ集計(アルバイト雇用)、およびその内容を発表する費用の一部とする。
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Research Products
(4 results)