2011 Fiscal Year Research-status Report
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23500264
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松川 睦 日本大学, 医学部, 助手 (90318436)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 感性脳科学 / 感性形成機構 |
Research Abstract |
実験動物(マウス)は捕食動物の匂い(合成キツネ臭)に対して先天的に恐怖・ストレス反応を示すことが知られている。これに対して我々はこれまでの研究で、薔薇の香り(バラ臭)や木の香り(ヒノキ臭)といった自然に存在する匂い物質が、経験や生育環境に存在しなくてもストレス反応を緩和する効果のあることを報告してきた。そこで本研究では、人工臭のように実験動物が全く知らない匂いでも、生育環境に存在することでストレス緩和効果が得られるようになるのかどうかについて検討することを目的とした。このため、自然臭存在下で飼育する動物群と人工臭存在下で飼育する動物群の生育環境の違いが、捕食者臭に対するストレス反応にどのような影響を与えるのか検討する事とした。自然臭としては、通常の飼育時に用いているトウモロコシの芯由来の床敷を利用する事としたが、人工臭存在下で飼育する動物群に対して、同じ床敷を利用すると両者の匂い物質を同時に経験する事となってしまうため、人工臭のみの床敷を検討することとし、結果として裁断した新聞紙をオートクレーブ滅菌して床敷とし、この新聞紙の匂い、つまりインク及び印刷臭を人工臭として用いる事とした。また、実験で匂い物質を提示する方法も新たに検討し、それぞれの床敷内に脱脂綿の小片を混入し、1か月ほど密封したもの(それぞれの匂いが染み込んだ脱脂綿)を匂い提示用として冷凍保存することで作製した。上記のような予備実験および準備を経て、本実験を開始した。2種類の異なる匂い環境で飼育した動物群を作成するためには出生前から、つまり妊娠マウスをいずれかの匂いのケージで飼育し、その仔マウスをそれぞれの生育環境臭下で一定期間飼育した後、離乳させ、その後、通常の空気以外の匂いの無い環境で飼育してから研究に供するため、実験に必要な頭数を確保するまでに時間がかかっており、現在も実験頭数を確保するべく継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄に記載した通り、実験の準備および予備的実験を順調に終了し、本実験に取り掛かっている。また、実験動物の出生前の段階(妊娠動物の飼育)から始まって、異なる生育環境下での出生後の飼育を伴う為に、実験動物の作製に時間がかかることが当初から予想されており、現在も継続中である。出生数にもばらつきがあるため、もう少し時間がかかることが予想されるが、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、実験動物の作製を継続して行っている。これらの個体数の確保がまず最初の課題である。引き続き、飼育・作製した動物を用いて、生育環境臭の違いによるストレス反応に対する影響を検討し、たとえ実験動物が全く知らない人工臭であっても、生育環境にその匂いが存在することで、ストレス緩和効果を示すのかどうかについて明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には、前年度と同様に、動物関連(動物代および飼育代など)、各種試薬類および消耗品類の購入を行う。特に機器類を購入する予定はない。
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