2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500264
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松川 睦 日本大学, 医学部, 助手 (90318436)
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Keywords | 感性脳科学 / 感性形成機構 |
Research Abstract |
これまでの研究で実験動物(ネズミ)の反応から、匂い物質を少なくとも3種類に分類でき得ることを示してきた。1種類目は先天的に恐怖反応を惹き起こす匂い(キツネ臭)であり、2種類目は逆に未知の(経験したことのない)匂いであってもストレス反応を緩和する効果のある匂い(バラ臭やヒノキ臭)で、3種類目は、そのいずれでもない、つまりストレスでもストレス緩和でもない匂い(キャラウェイ臭)である。そこで、例えば人工臭のように実験動物が全く知らない匂いであっても、その匂いを生育環境臭とすることでストレス緩和効果が得られるようになるのかどうかについて検討することを目的とし、自然臭(通常の床敷)および人工臭(裁断した新聞紙)の2種類の異なる匂い環境で飼育した動物群を作製した。このためには妊娠動物を導入し、それぞれの生育環境臭下で出生から授乳期(生後3週間)を生育させ、離乳後に通常の空気以外の匂いの無い環境で同等の期間(離乳後3週間)飼育してからその仔を研究に供する必要がある。さらに、思春期以降メスの個体では性周期とともに体内ホルモンバランスが変化してしまい、ストレスの指標として計測する副腎皮質ホルモンの血中濃度に影響がでてしまうため、実験にはオスの個体のみを用いた。そのため必要な頭数を確保するまでに予定以上の時間を要したが、順調に終了し現在、順次脳標本の作製およびその解析を行っている。 また、上記の本実験と並行して、この匂い物質によって惹起される恐怖反応に関わる脳内神経回路網の解明を行うため、脳内に神経毒を微量注入し、これまでの報告で関与する可能性が示されていた脳内部位(扁桃体内側部や腹側吻側前梨状葉皮質など)に対する選択的な破壊手術を行った上で、十分な休息期間の後、通常通り匂い物質(キツネ臭)に対する脳内反応を調査したところ、扁桃体内側部の関与はない、もしくは非常に少ない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠動物の出生数にもばらつきがあり、また過去に妊娠経験のない初産動物の場合に子育ての放棄といった現象が生じてしまったことなども含め、若干、当初の予想より時間がかかったものの、研究実績の概要欄に記載した通り、動物群の作製まで順調に終了し、脳切片標本の作製およびその解析に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、脳切片標本の作製およびその解析を継続して行っている。全脳の切片作製とその免疫組織化学的染色にもう少し時間がかかるが順次行っており、期間中には結果が得られるものと考えている。これにより生育環境臭の違いによるストレス反応に対する影響が判明し、たとえ実験動物が全く知らない人工臭であっても、生育環境にその匂いが存在することで、ストレス緩和効果を示すのかどうかについて明らかになるものと思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Journal Article] Stress-related activities induced by predator odor may become indistinguishable by hinokitiol odor2012
Author(s)
Murakami, T., Matsukawa, M., Katsuyama, N., Imada, M., Aizawa, S. and Sato, T
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Journal Title
NeuroReport
Volume: 23
Pages: 1071-1076
Peer Reviewed