2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500267
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 英之 理化学研究所, 認知判断モデル連携ユニット, 連携ユニットリーダー (50271549)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | カーネル法 / 正準相関分析 / 多細胞活動 |
Research Abstract |
脳で行われる情報処理は複雑な非線形性を含み,かつ多次元対多次元の変換になっていると考えられるが,従来の逆相関法は基本的に多次元対1次元の線形の変換の仮定の下で,脳の情報処理を推定する方法であった.しかし実験的には神経活動を多次元で測定する多点電極測定,2光子顕微鏡によるCa2+イメージング,fMRIなどの方法が近年発展し,多次元対多次元の脳内変換のデータが蓄積されている.筆者らはそのような多次元同士の非線形変換をカーネル法と呼ばれる方法を使って読み取る方法(新しい逆相関法)を開発していたが,補助金を得てその方法の精密化及び論文化を進め,査読付き国際会議論文として発表した.幸運にしてその発表論文は総発表数262件の中からただ一件選出のベストペーパーアワードを獲得することが出来た.筆者の研究室では予てより,無麻酔状態または麻酔状態のラットの視覚野からの多細胞活動を2光子顕微鏡により測定しているが,補助金を基に研究を進め,ヒトの視覚野の活動をfMRIで測定したデータも蓄積し始めた.今回視覚刺激画像とそのように測定したラット視覚野の多細胞活動やヒト視覚野の広域活動(多ボクセル活動)との間の非線形相関を筆者らの新しい逆相関法で計算した.ラットに関しては視覚刺激セットとして(A)幾何学図形やそれを別の図形で遮蔽したもの(B)自然や人工物の写真と二種類を用いた結果,前者に関しては新しい逆相関法によってラットが図形のどこに注目しているかを表す「注目点図形」が得られた.また後者に関しては解析法の改良のさなかにあるが,非線形相関を表す数値的結果を得た.fMRIはデータの蓄積中であるが,こちらも同様に非線形相関を示唆するデータが得られている.以上のように新しい逆相関法の予備調査のフェーズを終えることが出来た.
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