2011 Fiscal Year Research-status Report
局所パレート性を考慮した多目的最適化アルゴリズムの開発と逆問題への応用
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23500268
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邉 真也 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30388136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 浩之 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90271642)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 進化型多目的最適化 / 逆問題 / 局所探索 / 局所パレート性 / 位相回復 / 小数投影CT |
Research Abstract |
23年度の主な研究成果は,「多数目的に対応した局所的パレート最適性を考慮した局所探索手法の開発」と「進化型多目的最適化(Evolutionary Multicriterion Optimization,EMO)の小数投影CTに対する応用」の2点である.局所最適性を考慮した探索手法の開発では,3目的以上の多数目的の場合においても一定の均一性を保持した解候補を生成するための補完メカニズムを考案し,幾つかの代表的なテスト関数に対する数値実験を通してその有効性を検証しているところである.本成果は,EMOにおける欠点の1つである解の信頼性について大幅に改善することができ,より幅広い応用分野に対するEMO適用の促進剤になると期待している.なお,この研究内容については,24年度中に論文投稿をする予定である.また,小数投影CTに対する応用ではEMOに基づく新たなアプローチを考案し,フィルター逆投影法(Filtered Back Projection, FBP)等の代表的な手法と比較した優位性について検証を行った.本成果により,物理系逆問題に対する多点,多評価を特徴とするEMOの親和性の高さについて一定の結果を示すことができ,位相回復といった他の物理系逆問題への適用につながる成果であると考えている.この研究成果については,論文投稿を行ったものの残念ながら採録には至らなかったため,本申請研究期間中にアプローチの改良,理論的裏付けの強化を行い論文としてまとめたいと考えている.23年度のこれらの成果は,概ね当初の実施計画に沿ったものであり,24年度以降に予定している開発EMOアルゴリズムの逆問題への適用へ直結している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の主な研究成果である「多数目的に対応した局所的パレート最適性を考慮した局所探索手法の開発」と「進化型多目的最適化(Evolutionary Multicriterion Optimization,EMO)の小数投影CTに対する応用」は,計画当初の予定とほぼ一致しており,予定通りに研究が進んでいると考えている.申請書に記載した「研究目的」のうち,「局所パレート領域を高効率で探索する新たなEMOアルゴリズムの開発」に関しては大きく進めることができ,24年度からの逆問題への効果的な解法メカニズムの検討に予定通り着手する予定である.以上のことから,自己点検による評価を「(2)おおむね順調に進展している」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
現在実装を進めている局所的パレート最適性を考慮した局所探索手法に関する数値実験を重ね,24年度のできるだけ早い段階で論文としてまとめる予定である.また,進化型多目的最適化(Evolutionary Multicriterion Optimization,EMO)手法による位相回復,小数方向投影CTの2種類の逆問題に対する応用も継続し進め,データ欠損の大きな不確実性の高い問題に対する精度の高い推定の実現について検討を進めたいと考えている.また,開発を進める局所探索手法をより大規模な逆問題へ適用するために,当初計画には考慮していなかった大規模クラウドシステムでの実装を進めていきたいと考えている. 24年度は翌年度に本格的な大規模実験を精力的に行うための準備期間として位置付け, 最終年度において大規模逆問題への数値実験を開始することを想定している.なお,クラウド環境としては,「北海道大学アカデミッククラウド」のような外部クラウドサービスを利用した環境での実装を考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は,予算成立のずれ込みによる影響に伴う最終的な交付額決定の遅れから,幾つかの研究会発表および参加を控えたため旅費支出が当初予定していた予算計画を下回り,結果として約35万の繰越額が生じることとなった.また,本申請研究では最終年度において大規模逆問題の数値実験に掛かる経費,論文投稿費用,海外学会発表費用など多額の予算を必要とすること,上記の繰越額が生じたことから当初の予定から次年度分を40万減額,その分を最終年度に増額するという振替申請手続きを行った.次年度の物品費に関する主な使用用途としては,外部クラウドサービスを利用するための利用料金,ソフトウェアの継続ライセンス費用,老朽化に伴う一部パソコンのリプレイスのための費用を計画している.旅費に関しては,本申請に関わる研究成果について国際会議,国内研究会での発表参加を数件予定しており,その他の費用に関する支出としては,論文投稿,データ収集のための人件費を予定している.また,翌々年度である最終年度は,次年度に比べ外部クラウドサービスの利用料金,研究成果をまとめた論文投稿費用,学会発表に掛かる旅費,参加費などが大幅に増加した予算使用を計画している.
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