2011 Fiscal Year Research-status Report
大域的多峰性に着目した未知解探索アルゴリズムの構築
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23500273
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小野 功 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00304551)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 進化計算 / 遺伝的アルゴリズム / 実数値GA / 関数最適化 / 大域的多峰性 |
Research Abstract |
関数最適化のための進化計算手法の一つである実数値GAは,変数間依存性をもつ多峰性の探索空間において良好な性能を示すことから注目を集めている.しかし,近年,実数値GAの実問題への応用が進むにつれて,実数値GAの性能が劇的に劣化する大域的多峰性の問題クラスの存在が明らかになってきた.そこで、平成23年度は、大域的多峰性空間において有力な候補を効率よく探索するための探索アルゴリズムを構築することを目的に研究を遂行した。 上記目的を達成するため、実数値 GA を繰り返し適用することにより、過去の探索履歴を用いて未探索の大谷を効率よく発見するための探索アルゴリズムを提案した。本探索アルゴリズムは、1)探索空間全体を覆うように初期集団を生成する、2) 実数値GAを適用して集団を収束させる、3)集団が収束した点を含む大谷の領域を推定し、既探索領域として記憶する、4)なるべく未探索領域のみから構成される領域を広く覆うように初期集団を生成する、5) ステップ2へ戻る(ただし、実数値GAによる探索において既探索領域は実行不可能領域として扱う)、というものである。本アルゴリズムを実現するため、(a)探索済みの大谷の推定方法、(b) 未探索領域への初期集団生成方法、(c)既探索領域への収束防止方法を開発した。提案アルゴリズムの有効性を検証するため、大域的多峰性ベンチマーク関数を用いて、単純なマルチスタート戦略、ISM [池田02]との性能比較を行った。ISMは大域多峰性空間に対して有効とされる既存手法である。ここで、探索エンジンとしては、最も高性能な実数値GAの一つであるAREX+JGG [秋本 09]を共通に用いた。その結果、単純なマルチスタート戦略は全ての試行で探索に失敗し、ISMは10%以下の成功率であったのに対して、提案手法は98%以上の成功率を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、実数値 GA を繰り返し適用することにより、過去の探索履歴を用いて未探索の大谷を効率よく発見するための探索アルゴリズムを提案し、大域的多峰性ベンチマーク関数において、既存手法を凌駕する性能を示すことを確認できたことから、当初の目的を達成できたと考えている。また、これに加えて、平成24年度に計画していた大谷内の探索効率の向上に関する研究にも着手し、すでにAREX+JGGを凌駕する性能を得ていることから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、研究実績の概要で記した提案アルゴリズムを学術論文にとりまとめる作業を行い投稿した後、平成23度に前倒しで着手した大谷内の探索効率の向上に関する研究をさらに発展させる予定である。具体的には、平成23年度に提案したアルゴリズムの洗練化を行った後、ベンチマーク関数を用いて性能評価を行う。また、次年度使用額が生じたのは、1) 計算機実験用のPCの購入時期が3月であった、2) 学会発表を3月に行ったためであり、会計処理の都合上支出が遅れたがすでに執行済みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究を推進するため、平成24年度は、データバックアップ用のデータストレージや関連書籍等を消耗品として購入予定である。また、研究成果を学会にて発表するとともに関連研究者と討論を行うための旅費を使用する。さらに、論文投稿料、大規模計算のための計算機使用料をその他の経費として使用する。
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Research Products
(6 results)