2011 Fiscal Year Research-status Report
大規模多数目的最適化を促進する新しい多目的進化アルゴリズムの開発
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23500276
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
アギレ エルナン 信州大学, 工学部, 准教授 (50402136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 清 信州大学, 工学部, 教授 (20273071)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 進化計算 / 大規模多数目的最適化 / 並列化 / 目的空間分割アルゴリズム / 多目的アルゴリズムのハイブリッド化 |
Research Abstract |
本研究では、進化計算を用いた多目的最適化問題の解法に焦点を当て、システムに多数の目的関数と膨大な設計変数を含む大規模多数目的最適化において、その解探索能力を格段に促進・向上させる新しい多目的進化アルゴリズムを開発する。23年度において以下の研究項目を明らかにしました。項目(1): 目的空間分割アルゴリズムの並列化。目的空間分割アルゴリズムの並列分散処理について検討しました。全体の目的数mをいくつかの少ない目的数m1,m2,・・・,mk(ただしm1+m2+・・・+mk=m)に分割し、m1,m2,・・・,mk個の目的関数に対応するサブ集団ごとに、それぞれ独立な計算機で進化させました。これにより、すべてのサブ集団を1つの同じ計算機内に作成して解法する従来法と比べて、計算負荷とくにm個の評価値計算とそれに付随する個体のランク付けに必要な計算コストを大幅に削減しました。目的数が大きなテスト問題を用いた実験により、計算コスト削減および全体のPOS探索能力を検証しました。項目(2):目的空間分割アルゴリズムのハイブリッド化。(1)の各計算機で稼動するそれぞれのアルゴリズムについても探索能力の強化を図る必要がある。この際、進化の時系列(世代)を2段階に分け、パレートフロントへの収束性と多様性(目的空間での広がり)を同時に満たすPOS探索の実現を試みる。ハイブリッド化によって各サブ集団に対応する個々のアルゴリズムを強化し、(1)の全体アルゴリズムとしてPOS探索能力の向上を目指しました。テスト問題を利用した実験により、従来アルゴリズムやハイブリッド化を行わない(1)の方法とも比較を行い、性能検証しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べるように23年度の研究目的に取り上げた二つの項目を明らかにしました。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度において以下の研究項目を明らかにする。項目(3):並列目的空間分割アルゴリズム全体の適応化。昨年度項目(1)の並列アルゴリズムでは、それぞれの計算機上のサブ集団の進化を観測し、その結果をシステム全体に反映する制御機能を果たす仕組みが必要である。そこで、各サブ集団の進化の程度を収束性と多様性の観点から計測し、これらをアルゴリズム全体として最大の探索能力を実現するようにフィードバックする適応的なメカニズムを検討する。具体的には、各サブ集団への目的関数や計算資源の割り当てを動的に制御する。テスト問題を利用した実験により、適応化を行わない(1)や(2)の方法との比較を行い、適応化の効果を検証する。項目(4):ハイブリッドアルゴリズムの適応化。昨年度項目(2)の各計算機で稼動するそれぞれのハイブリットアルゴリズムの適応化を試みる。従来のアルゴリズムでは、時系列上のある世代をトリガにして利用するアルゴリズムを切り替えていたが、ここでは、解集団の進化の程度を収束性と多様性の観点から計測し、これらを個々のアルゴリズムの探索能力を最大化するようにフィードバックする適応的なメカニズムを構築する。テスト問題を利用した実験により、適応化を行わない(2)の方法との比較し、適応化の効果を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
並列目的空間分割アルゴリズム全体の適応化とその効果の検証実験を行うために、1年目に購入した計算ユニットに、さらに2台の計算ユニットを購入して追加し、実験を行う。これにより、多数のCPUを有する分散システムを利用したさらに高度な適応アルゴリズムの開発を行い、その有効性を明らかにする。また、個々のハイブリッドアルゴリズムの適応化とその効果の検証実験には、研究室にある既存の計算機を利用する。さらに、並列目的空間分割アルゴリズムをベースとする目的関数の次元数削減とその効果の検証実験、および確立したアルゴリズムの実世界の大規模多数目的最適化問題へ適用可能性の検討についても、1~2年目に構築する複数の計算ユニットを持つ並列分散システムを利用して行う。2年目以降も、プログラム開発と実験に必要な労力として、研究補助に対する2万円/月程度の謝金を計上している。旅費については、関係機関との打合せを継続的に行うために、初年度と同額を見込んでいる。学会発表は、2年目以降、研究成果の発表件数が増加することを予想して、国内3~4回、海外1回を見積もっている。また、印刷費(別刷代)として必要と思われる金額を計上している。当初計画で見込んだよりも安価に研究が完了したため、次年度使用額が生じた。
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