2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500279
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 英行 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (50274543)
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Keywords | 対話型進化計算 / 探索の高速化 / 対比較ベースの差分進化 / awareness |
Research Abstract |
H24年度は3つの取組計画に基づいて実施した.【取組み1(H23年度~H24年度)】 ECの高速化と差分進化導入によるIEC技術の高度化と,対話型差分進化(IDE)用のユーザ疲労軽減手法の確立.【取組み2(H23年度後半~H24年度)】 IDEによる人工内耳フィッティングシステムの開発,福岡大学医学部および九州大学医学部の人工内耳フィッティング実験への提供,見返りに得られるIDEデータの解析と,その結果に基づく聴覚上の説明仮説モデルの構築.【取組み3(H24年度後半~H25年度)】計算知能技術による人間科学解明のアプローチとawarenessモデル化 取組み1では,(1) ECの適応度景観を周波数分析し,主成分周波数のみをフィルタリングすることで,適応度景観を正弦波で近似して大域的最適解近傍を推定して高速化に利用する手法をH23年度に提案し,H24年度はその拡張として,大局的最適解だけでなく局所的最適解も得ることができるニッチ手法を提案し,評価した.(3)explorationからexploitationへの遷移を加速する手法を提案し,評価した. 取組み2では,H23年度の福大医学部に加え, H24年度からは九大医学部も参加した.人工内耳フィッティングは数日間に及ぶため,H24年度ではユーザ疲労軽減を目的に,opposition-based learning手法を差分進化に組み込んだり,有望そうな初期個体を手作業で加える機能などを新規に行った. 取組み3では,計算知能技術による人間のawarenessメカニズムのモデルに対する考えとアプローチをまとめ,学術雑誌に発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【取組み1:IEC技術の高度化】では,高速化手法の提案と評価は計画通り実施し,業績に示す成果を得た.対話型差分進化の主観評価実験も一度は終えた.しかし評価結果の解析結果から,技術そのものよりもグラフカルユーザーインタフェース(GUI)の操作性が評価に影響を与えていることが判明したため,GUIの仕様を変更したシステムを構築し直した.H25年度に新GUIを用いて,再度主観評価実験を行い,取組み1を完了させる予定である.計画ではH25年度半ばまでに主観評価実験を終えることになっているので,計画通りの進捗である. 【取組み2:聴覚心理・生理分野のための計算知能技術確立】では,H24年度までに対話型進化計算によるフィティングシステムは完成しており計画通りである.しかし,福岡大学と九州大学の医学部でのフィッティングデータ取得に時間が掛かって計画よりも遅れている.医学部でのフィッティングは申請者が一切タッチできないのでただ結果を待つしかない.そのためH25年度も継続してデータ収集する必要があり,解析は25年度になる予定である. 【取組み3:人間の評価特性のモデリング】H24年度後半から開始の取組み3は,まず計算知能で人間科学の解析をするという方向性と,awarenessモデル化への方法論の全体像をまとめることから始めた.この成果は学術雑誌にまとめてH24年度に発表した.計画通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
【取組み1:IEC技術の高度化】は,H23-24年度でほぼ終わったが,引き続きIECの高度化に対するアイデアがあれば評価をしていく.H25年度は,残った対話型差分進化の主観評価実験を完了させる. 【取組み2:聴覚心理・生理分野のための計算知能技術確立】は,対話型差分進化による人工内耳フィッティングの被験者実験データを福岡大学医学部と九州大学医学部から得てデータ解析する.解析結果からこれまでの人工内耳の常識では説明できない仏チームのIECフィッティング結果を説明する新しい聴覚系の説明仮説を構築する.新しい知見を見つけ,それを説明する仮説モデルを構築することはかなりのチャレンジな取組みである.この仮説モデルが構築できない場合でも,その基となるフィッティングデータの解析結果は少なくとも公表できるようにする. 【取組み3:人間の評価特性のモデリング】は,IECシステムとユーザのインタラクションから構造化NN-FSモデルを用いてユーザの評価特性モデルを学習し,構造解析から評価特性モデルを得る.H24年度に発表したawarenessメカニズム構築の考え方に沿って,前述構造化NN-FSモデル内部の隠れた上位概念・説明変数を探し出す枠組みを確立することでawareメカニズム構築ができることを実験的に示す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
取組み1の主観評価実験では,ユーザインタフェースが疲労評価に大きな影響を与えるので,タッチパネル式のノートPCを購入して評価実験を行う予定であった.しかし,H25年度での再実験のために購入を1年ずらせたので,H25年度にこのタッチパネル式PCを購入して対話型差分進化の主観評価実験に用いる.物品費は,このための実験PCとそのソフトウェア購入にあてる. その他の主要支出は,成果発表のための,英文校正料,複数論文掲載料,国際会議参加登録費(WCI2012, ICGEC2012等),参加旅費,国内会議(進化計算研究会,進化計算シンポジウム)などである.
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