2011 Fiscal Year Research-status Report
進化計算の高速化を実現するGPGPU基盤ソフトウェアの開発
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23500285
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤本 典幸 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90294165)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 超高速情報処理 / ソフトコンピューティング / 並列処理 / GPGPU |
Research Abstract |
本研究の目的は,現在注目されており将来も有望な並列計算プラットフォームであるGPUを用いて,様々な問題に応用できる進化計算を高速に実行するための一般的手法・方法論を世界に先駆けて開発することである.進化計算は,個体の集団に対して操作を繰り返して解を探索するアルゴリズムの総称であり,遺伝アルゴリズムなど,いくつかの手法がある.ところで遺伝アルゴリズムは,解候補を表現する複数の個体に遺伝的操作を施すことを繰り返すアルゴリズムであり,各個体に対する処理は独立であるので,個体処理間に自明な並列性がある.しかし,2次割当て問題や巡回セールスマン問題などの,多くの問題で用いられる個体数は,局所探索を併用する性能のよい遺伝アルゴリズムの場合は,数十から数百程度である.このため1個体の処理を1スレッドで実行する単純な並列化を行うと,遺伝アルゴリズム全体で用いるスレッド数が高々数十から数百程度で抑えられてしまうが,これではCUDA対応GPUが必要とする数万スレッドに満たない.このため,GPUは価格性能比が非常によい魅力的な計算プラットフォームとして現在注目されているが,進化計算についてはGPUを単純に適用することが難しい. そこで平成23年度は,まず,個体処理間の並列性の利用に加えて,1個体の処理内の並列性も引き出し,遺伝アルゴリズム全体を高い並列度で並列処理するための手法の研究を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最適割当て問題の中で最も困難な問題の一つである2次割当て問題の高速解法にGPUを適用する方法の研究を進めている.2次割当て問題は,TSPと同様,組合せ最適化問題の解法におけるベンチマーク問題として用いられるとともに,病院の部署の最適配置問題や工場の最適立地計画問題など実問題への多くの応用があり,その高速解法は有用な意味を持つ.この解法においては,進化計算と局所探索とを組合せることが有効であることが知られている.今年度はACO(Ant Colony Optimization)に局所探索(2-opt,タブー探索)を組合せてGPUで高速に解く方法を研究した.ここでは特にGPUのマルチスレッド方式であるSIMT (Single Instruction, Multiple Thread) を考慮した方式を提案した.成果に関しては国際会議 CEC-2011 [1],GECCO-2011 [2]で報告した.[1] S. Tsutsui, N. Fujimoto. Fast QAP Solving by ACO with 2-opt Local Search on a GPU. the IEEE Congress on Evolutionary Computation. IEEE, pp. 812-819, June 2011.[2] S. Tsutsui, N. Fujimoto. ACO with Tabu Search on a GPU for Solving QAPs using Move-Cost Adjusted Thread Assignment. the Genetic and Evolutionary Computation Conference. ACM, pp. 1547-1554, July 2011.
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Strategy for Future Research Activity |
GPU利用の成功事例が多数報告されている数値計算などのアルゴリズムでは大規模な配列データへのアクセスパターンは静的に決まっているか,動的に決まるとしてもランダム性はない.このため共有メモリやキャッシュメモリの利用が比較的容易である.これに対して遺伝アルゴリズムでは,多数の個体の遺伝情報を記憶した大規模な配列に対するアクセスパターンが動的かつランダムに決まる.このため遺伝アルゴリズムではGPUのキャッシュメモリや共有メモリの有効利用はチャレンジングな課題となる. そこで今後は,大規模な配列データへのランダムアクセスを高速化するソフトウェアキャッシュ手法の開発を行う.大規模配列データはVRAM上に配置せざるを得ないが,参照の局所性の高い部分を各マルチプロセッサの共有メモリに動的にロードする手法(ソフトウェアキャッシュ)を用意できれば,遺伝アルゴリズム全体の実行を大幅に高速化できると考えられる.GPUのVRAMと共有メモリにはコアレスアクセスやバンク衝突と呼ばれる性能特性があるため,このソフトウェアキャッシュ手法の開発はチャレンジングな課題となる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度使用額が23万円強残った理由は,当該年度に発売されるはずであった新アーキテクチャのGPUが,半導体製造技術のプロセスルール微細化のスケジュールの遅れにより,次年度の持ち越されたためである. GPUの性能向上は著しい(1年~1年半に1回程度,性能が大きく向上した新しいGPUが製品化される)ため,研究を効果的に進めるためには,最新のGPUを備えた計算機が必要である.特に今年度はGPUのアーキテクチャが刷新される年度であり,4月に新アーキテクチャに基づくGPUのミドルクラス製品が発売済み,6月にはハイエンド製品が発売される予定である.このためGPU計算サーバ1台を購入予定である. GPUを用いた汎用計算は,ここ数年の間に立ち上がった新しいテーマであるので,研究を効果的に進めるためには学会に参加しての他の研究者と直接交流による情報収集が必須である.このため研究成果発表に加えて情報収集のための国内および海外出張をそれぞれ3回および2回程度行う予定である. 開発したGPUプログラムの性能評価を行う際には,他のGPUプログラムとの比較はもちろんのことであるが,それに加えて,できるだけ性能のよいCPUプログラムとの比較も行うべきであるため,CPU用の高性能な目的プログラムを生成するIntelコンパイラの年間利用ライセンスを購入予定である.
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Research Products
(10 results)