2011 Fiscal Year Research-status Report
知的支援情報処理システム構築のための人工脳型計算論の創出とその工学応用
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23500286
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
松井 伸之 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (10173783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 治彦 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (40218201)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 四元数ニューラルネットワーク / 量子ビット遺伝アルゴリズム / 複素数シナジェティックコンピュータ / 連想記憶 / 四元数 / 量子ビット / 画像処理 |
Research Abstract |
本課題では、多元数値化や量子情報およびランダム行列理論などに学びそれらの知見を取り入れたソフトコンピューティングを構築して従来手法の情報処理性能にどのような効能をもたらすのかを精査し、それらが人工脳型計算論として有望な計算手法であることを示すこと、およびその計算手法を効果的に用いた医療画像診断支援やパターン認識などの知的支援情報処理システムを開発することを目指している。 当該年度においては、下記研究項目1. ニューラルネットワーク(NN)の多元数化情報処理の再検討と拡大、2. シナジェティックコンピュータ(SC)やその他のマシンの多元数化、3. 量子情報理論の検討などを中心にそれらの理論的基盤を固めるべく研究を遂行してきた。その結果、これら1~3に対し、主に以下の研究成果を得た。 1.実数や複素数と異なり四元数の非可換性が四元数NNの特性であり、NN性能向上に寄与しているのであるが、実応用上、非可換な数は必ずしも便利であるとは言い難い。そこで可換四元数NNの開発を試み、ホップフィールド型可換四元数NNを構築した。それがNNの更新とともに単調減少しうるエネルギー関数を持つことを示し得た。これは今後の四元数NN研究において新たな発展をもたらし応用拡大も期待できるなど意義深い成果と考える。2.複素数値化SC(CVSC)の試論はこれまでにも行っていたが、各種の画像パターン認識性能を実数型のそれと詳細に比較評価し、その効能をさらに明らかにした。これもまたCVSCの新たな発展をもたらす成果と考える。3.これまで複素数表示の量子ビットNN研究を主に行ってきたが、量子ビットを取り入れた遺伝アルゴリズムを新たに構築し、その手法の優越性をだまし関数や画像処理問題などで確認し得た。また有用な知的情報処理支援の検討のため、自己組織化特徴マップ(SOM)や画像処理などの応用研究も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シナジェティックコンピュータ以外の他のソフトコンピューティング手法、例えばサポートベクトルマシンの複素数値化・四元数値化や量子ビットのブロッホ表示の考察も当該年度に端緒を見出す予定であった。これらについては、関連文献の精査および基本概念の整理と検討に留まり、具体的な理論展開・検証は次年度以降の課題として残った。しかしながら、研究発表欄に記載したように、研究成果の一部を国内外に発表し得て、当初の研究計画はおおむね達成できたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に着手できなかったその他のソフトコンピューティングの多元数値化研究、特に自己組織化マップ(SOM)やサポートベクトルマシンの複素数値化・四元数値化を精力的に推し進めるとともに、24年度は、以下の1.および2.を新たに展開する予定である。1.ランダム行列理論の検討:ランダム行列ニューラルネットワークの連想記憶性能などを近年の理論発展から検討する。2.量子ソフトコンピューティングの新展開:量子進化アルゴリズムの定式化および量子ビットのブロッホ表現、量子アニーリング、量子エンタングルメントといった量子の特異な概念をニューラルネットワークに融合させた量子NNを検討する。また、上記開発手法の有効性を調べるためにも、認知交代などの脳機能モデルなど、人工脳型計算論としての検証および医療画像やにおい識別など知的支援情報処理システム応用などの検討も着手する予定である。これらの各課題を遂行する中で、問題点などを人工脳型計算論としての全体課題の中にフィードバックさせながら統一的に研究を進めて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の今後の研究の推進方策で述べた各課題を遂行する中で、得られた研究成果は国内外に広く発表する予定であるので、そのための旅費、研究打ち合わせ旅費、その他の費用が必要となる。
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Research Products
(19 results)