2012 Fiscal Year Research-status Report
知的支援情報処理システム構築のための人工脳型計算論の創出とその工学応用
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23500286
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
松井 伸之 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10173783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 治彦 兵庫県立大学, その他の研究科, 教授 (40218201)
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Keywords | 四元数ニューラルネットワーク / 四元数局所解析 / 量子ビット遺伝アルゴリズム / 量子粒子群最適化 / 連想記憶 / 医療情報処理支援システム / 複雑ネットワーク |
Research Abstract |
当該年度においては、前年度に引き続き、多元数値化や量子情報などの知見を取り入れたソフトコンピューティングの脳型計算論としての方法論の有望性・妥当性を探るとともに、医療情報処理システム応用についても研究を推進した。その結果、特に下記の研究成果1~3を得た。 1.複素数ホップフィールドニューラルネットワークに複雑ネットワーク概念を取り入れ、その記銘想起能力の複雑ネットワークパラメータ依存性を調べることによって、想起能力向上を図りうるかを検討した。その結果、複雑ネットワーク概念導入が脳型計算論として効果的な手法になりうることを示した。 2.四元数ニューラルネットワークにおける四元数の活性化関数については、実数や複素数の場合と異なり、その正則性や解析性が十分に調べられておらず、その適用制限なども明らかにされていない。そこで、四元数関数の局所解析性を精査して、四元数活性化関数の局所解析的特徴を検討した結果、四元数ニューラルネットワーク設計におけるその適用条件などを示唆し得た。これは今後の四元数ニューラルネットワーク研究において新たな発展をもたらし応用拡大も期待できるなど意義深い成果と考える。 3.前年度は量子ビット遺伝アルゴリズムを中心にその有効性を精査してきたが、当該年度は粒子群最適化法に量子力学概念を取り入れた量子粒子群最適化法を新たに検討し、その手法の優越性を様々なだまし関数をベンチマークとして調べた。その結果、粒子群最適化法においても量子情報手法を取り入れることの優越性を確認し得た。 さらに、これらの手法の有用な知的情報処理支援応用を模索するために、ソフトコンピューティングを基盤とした手法の医療支援システムへの応用研究なども行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シナジェティックコンピュータの四元数値化や連想記憶ニューラルネットワークへのランダム行列概念導入や量子ビットのブロッホ表示の考察によるニューラルネットワーク研究も当該年度に行う予定であったが、これについては課題として残った。しかしながら、これらに関する課題についての文献精査や知見の収集などは十分に行い得てそれを試論する端緒は見出し得たと考えている。それら以外の研究成果は、研究発表欄に記載したように、国内外に発表し得て当初の研究計画はおおむね達成できたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の研究推進方策としては、以下の1および2の項目を中心として精力的に研究を遂行する。 1.課題として残ったシナジェティックコンピュータの四元数値化や連想記憶ニューラルネットワークへのランダム行列概念導入や量子ビットのブロッホ表示の考察によるニューラルネットワークの構築およびその他のソフトコンピューティングの多元数値化や量子エンタングルメントとの融合研究を引き続き精力的に推し進める。 2.上記1並びにこれまでの開発手法の有効性を確立する上でも人工脳型計算論として検証する意味においても、医療分野などへの知的支援情報処理システム応用や社会性昆虫のシマリング現象などの群知能現象のモデル化などを試み、これらを遂行する中で、問題点などを全体の課題にもフィードバックさせて研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究発表旅費として当初予定していた費用が主催者側の交通費負担となったものが一つあり、そのため次年度使用額(B-A)が生じた。25年度は最終年度でもあり、分担研究者、連携研究者、協力研究者との研究討議をより一層密にして研究成果をまとめていく方策で研究を推進し、得られた研究成果は国内外に広く発表する予定である。したがってそのための旅費、研究打ち合わせ旅費、会議登録料などその他の費用が必要となり、次年度使用額(B-A)を25年度研究費と合わせて使用する。
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Research Products
(22 results)