2011 Fiscal Year Research-status Report
ファジィ双線形システムに対する制御系設計と実システムへの応用
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23500287
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
米山 淳 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30283344)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ファジィシステム / 双線形システム / むだ時間 / 安定化制御 |
Research Abstract |
局所的なシステムが双線形システムで与えられる双線形ファジィシステムを対象システムとした。このシステムに対し、状態フィードバック則の設計と状態推定のためのオブザーバの設計を行った。まず、安定化状態フィードバック則の設計を行った。双線形ファジィシステムに対する特別なフィードバック制御則を考え、閉ループシステムの安定性と安定化制御則の設計を提案した。また、システムにむだ時間が含まれる場合を考えて、むだ時間を含む双線形ファジィシステムの安定性と安定化制御則の設計を行った。既存の研究では保守性が高い安定条件や設計条件が与えられていたため、それらの条件を緩和する方策も与えた。さらに、安定性のみならずシステムの過渡応答も考慮したコスト保証制御則の設計を行った。この制御則の設計により、整定時間やオーバーシュートも調整ができ、望まれる制御仕様を達成する制御則が得られた。安定化状態フィードバックの設計と並行して、状態を推定するオブザーバの設計も行った。オブザーバの設計条件に関してもより保守性を軽減する方策を取り、既存の研究結果よりも設計条件を緩和した。対象システムについても、むだ時間を含む双線形ファジィシステムに拡張して、オブザーバの設計を行った。また、安定化状態フィードバック則とオブザーバを組み合わせて出力フィードバック則を設計できることを証明した。最後に、数値例により提案した設計手法の有効性を確認した。既存の結果よりも設計条件が緩和され、広いクラスのシステムに対し状態フィードバックとオブザーバの設計が行えることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究と比べて、ほぼ計画通りに進んでいる。安定化制御則の設計方法は計画通りであり、設計条件の緩和手法も提案することができた。さらに、対象システムをむだ時間を含む双線形ファジィシステムに拡張して、同様に制御則の設計手法を提案した。これは計画にはなかったので、この部分に関しては計画以上に研究が進んだ。オブザーバの設計にも取り組み、設計方法を提案することができた。当初予定していたフィルタの設計の基本となるところである。フィルタの設計はつぎに行う予定である。また、コスト保証制御の設計法も確立した。この制御則の設計は当初の計画にはなかったが、安定化制御則の設計手法の延長として確立することができた。総じて、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず外乱抑制制御則の設計を行う。さらに、システムのパラメータに変動があった場合のロバスト安定化制御則やロバスト外乱抑制制御則の設計も行う。それと並行して、外乱抑制フィルタの設計も行う。フィルタの設計においては、ファジィシステムの前件部変数が未知の場合でも、状態を推定するフィルタの設計を行う予定である。これにより、より一般的な双線形ファジィシステムに対してもフィルタの設計が可能となり、さらに、安定化状態フィードバック則とフィルタを組み合わせることにより、出力フィードバック則の設計が可能となる。なお、今年度初頭は交付予定額の7割のみが交付されたため、年度後半に予定していた調査研究、および研究結果発表のための出張を割愛した。そのため次年度使用額が生じてしまった。次年度にこれらを遂行するために使用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、出力フィードバック則による制御系の設計を行う。基本的な設計方法としては、フィルタもしくはオブザーバと状態フィードバック則を組み合わせる方法がある。フィルタの設計法が確立されれば、フィルタと状態フィードバック則を合わせて、出力フィードバック則を設計することができる。この際に組み合わせる状態フィードバック則は、新たに提案する非線形な制御則を考えている。この制御則により、従来は困難とされてきたファジィ双線形システムの制御系設計が可能となると大いに期待できる。もし前件部変数が未知の場合には、分離定理が成り立たないため、フィルタと状態フィードバック則を同時に設計することを考える。ここでは、フィルタの導出で行った方法と同様に、前件部変数を同時に推定する出力フィードバック則を設計する。さらに、出力フィードバック則の設計条件を緩和する設計条件を求め、汎用性の高い制御系の設計方法を確立する。設計する制御則の種類も、安定化出力フィードバック則のみならず、外乱抑制制御則などの設計を予定している。また、ノミナルなファジィシステムに対する制御則のみならずシステムパラメータに同定誤差を仮定したファジィシステムに対するロバスト制御則の設計も行う。
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Research Products
(15 results)