2013 Fiscal Year Research-status Report
ファジィ双線形システムに対する制御系設計と実システムへの応用
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23500287
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
米山 淳 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30283344)
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Keywords | ファジィシステム / 非線形システム / 制御系設計 |
Research Abstract |
前年度までは、局所的なシステムが双線形であるファジィシステムで与えられる双線形ファジィシステムに対する制御系設計を行ってきた。その制御系設計手法がさらに一般の非線形システムにも拡張できることがわかったため、今年度は対象システムをファジィ双線形システムからより一般的な非線形システムに拡張して、制御系設計手法を確立した。 具体的に対象システムとしたのは、局所的なシステムをシステムの状態に関して非線形であるシステムとした。これは、今まで扱ってきた双線形システムを特異なシステムとして含むため、ファジィ双線形システムの一般化システムともなっている。 実際に、このシステムに対し制御系の設計を行った。制御則は対象システムに対応して新たな構造を持つ非線形な制御則とした。この新たな形式の制御則を用いて、安定化制御則の設計を行った。さらに、過渡応答も考慮するコスト保証制御則の設計も行った。これらの制御則の設計においては、保守性を軽減するために、従来用いられていた並列分散補償器と代わり、新たな構造を持つ制御則を用いた。これにより、制御系設計条件が緩和され、広いクラスのシステムに対する制御則の設計が可能となった。 このファジィシステムは、標準的な高木・菅野ファジィシステムよりも少ない数の局所的なシステムにより非線形システムを表現できるため、より緩やかな制御系設計条件が得られることになった。実際、これにより、従来の設計条件では求められなかった制御則の設計が可能であることが理論的にも、数値的にも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、ファジィ双線形システムに対して外乱抑制制御則の設計などを行う予定であったが、ファジィ双線形システムに対して構築した安定化制御則がより一般的な非線形システムにも拡張できることがわかったため、より一般的な非線形システムに対する安定化制御則やコスト保証制御則の設計を行った。このため、当初の研究計画にはなかったが本課題に関係する研究課題を解決することになった。逆に、当初の研究計画の遂行はやや遅れてしまった。しかし、今年度に発見した制御系設計の手法は研究を予定していた課題よりも価値のある設計手法であるため、研究成果という面でいると、それほど遅れたとは言えず、逆に、新たな設計手法を発見したと言える。また、今年度に提案した設計法は、従来よりも設計条件を緩和したものになっているため、その点では研究計画以上に研究が進んだと言える。 さらに、当初の研究計画であった外乱抑制制御則の設計法は、これまでに得られた安定化制御則やコスト保証制御則を参考にすると、正確には求められてはいないが、ある程度の設計手法や設計条件の導出に目安がついている。これまでに得られた制御則よりは複雑になりそうだが、時間をかけることで外乱抑制制御則の設計法も提案できると思われる。その設計においても設計条件を緩和した手法を提案する予定である。したがって、研究計画よりもやや遅れているとは言え、その遅れを取り戻すことは十分可能であり、また研究予定よりも有効な制御系設計手法を得られる可能性はあると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、基本的にこれまでの研究計画を継続的に進めていく予定である。主として、今年度に行えなかった外乱抑制制御則やサンプル値制御則の設計手法の理論的な確立を行う。なお、システムに含まれるむだ時間やシステムパラメータの不確かさを考慮したロバスト制御系の設計も行う予定である。 また、前年度に行う予定であったが、提案した設計手法の有効性を確認するために、数値シミュレーションと実システムへの適用を考えている。数値シミュレーションにおいては、単に安定性の確認だけでなく、過渡応答や定常特性の評価も行う。さらに、むだ時間やシステムパラメータの変動に対するシミュレーションも行う予定である。これらにより、よりよい制御則の設計が可能となると言える。さらに、実システムへの制御則の実装を考慮して、ソフトウエアとハードウエアの両面より環境整備を行う。 なお、時間が許せば、今年度に発見したより一般的な非線形システムに対する制御系設計手法に関しても、さらに理論的な拡張を行いたいと思っている。これは当初の研究計画にはなかったものだが、研究的には本課題とも密接に関連しており、当初の予定よりも進んだ研究となるため、こちらにも時間を割きたいと思っている。 研究には新たな発見が付き物なので、今後の研究の遂行に置いても、何らかの新たで革新的な研究結果を導き出せるように、常に他の研究者の最新の研究結果などにも目を光らせて行くつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に、ファジィ双線形システムに対するロバスト制御系設計を行っていたが、その設計手法がより一般的な非線形システムにも拡張できることが判明したため、より一般的な非線形システムに対する制御系設計手法の確立を行うこととした。このため、研究を予定していた外乱抑制制御則やサンプル値制御則の設計手法の確立、および数値シミュレーションによる制御則の有効性の検証と実システムへの適用が行えなかった。また、平成25年度に構築した制御系設計手法を国内外の会議で発表することが出来なかった。これらに使用する予定だった費用を次年度に使用するものとすることとなった。 まずは、研究予定であった理論的な制御則の設計手法の確立のために必要な書籍などの購入に費用がかかる。これは和書と洋書を含めた研究書籍のほか、学術雑誌の購入費や学会・研究会の予稿集も含まれる。 また、新たに確立した設計手法を数値シミュレーションにより有効性を検証するための費用としてソフトウエア購入費やプログラム開発にかかる費用がかかる。さらに、確立した制御則を実システムへの実相にかかる費用としてハードウエアの整備費用も必要である。 最後に、これらの理論的な研究結果と実験的な研究結果を国内外の会議で発表するための費用などにも使用したい。
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Research Products
(8 results)