2011 Fiscal Year Research-status Report
「科学技術イノベーション政策の科学」のための情報基盤の構築とその活用
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23500304
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山下 泰弘 山形大学, 企画部, 准教授 (40313431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
調 麻佐志 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00273061)
富澤 宏之 文部科学省科学技術政策研究所, 科学技術基盤調査研究室, 室長 (80344076)
林 隆之 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 評価研究部, 准教授 (30342629)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 科学計量学 / 科学技術イノベーション政策 / データ・情報基盤 |
Research Abstract |
指標の検討については、プロジェクト担当者全員が、科学技術政策研究所のデータ・情報基盤に関する専門委員会に参画し、今後整備を進めるべきデータ・情報基盤や指標について包括的検討を進めた。さらに、重要な政策ツールのひとつである研究プログラム/プロジェクトの運営において有用な科学計量学的指標について、国内外の研究者や実務家に対する調査を踏まえ、検討を行った。また、大学評価の観点より、研究成果のインパクト面での評価指標について、実際の評価データに基づく検討を行い、一部分析結果を得た。さらに、科学技術とイノベーションの関連性を計測する上で重要な特許による科学論文引用について、マッチング精度向上と適用法について検討を進めた。 研究者データベース及び研究機関シソーラスについては、上記検討及び既存研究についてのサーベイを踏まえ、仕様と分析手法についての検討を行った。研究者データベースについては、当初計画では、複数分野を対象として小規模なデータベースを試作することとしていたが、研究者の国際移動が学術分野における論文生産や被引用傾向に与える影響を把握する上で、ある程度の規模のサンプルが必要となることから、平成23年度は1分野についてデータベース構築と分析を行い、それを踏まえて対象を広げることとした。当該データに係る分析結果については、国内外の学会(ISSI及び研究・技術計画学会)で発表した。また、これらの成果を踏まえ、分析対象を広げ、研究プロジェクトも含めることとし、データベース化を開始した。 研究機関シソーラスについては、要件について検討を行い、新たに引用索引データベースScopusに基づいて構築を進めるとともに、Web of Scienceについても2011年までのデータを導入してデータ更新に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
指標については、我が国で求められるデータ・情報基盤及び指標についての包括的検討をデータ・情報基盤に関する専門委員会等において行うとともに、(1)重要なアクターに着目した検討と、(2)科学技術とイノベーションの関連性の面から重要な指標の検討を進めており、非常に網羅性の高い検討を行った。(1)については、ファンディングエージェンシーおよび大学を取り上げ、内外の実務家・研究者との意見交換や、実際の評価データに当たっての解析等、より実践的な検討を行うことができた。また、(2)についても、特許と論文のマッチング精度向上を図るとともに、本プロジェクトで構築を進めている研究者データベース及び研究機関シソーラスに基づく分析手法の検討を行っており、順調に進捗している。 研究者データベースについては、既存研究のサーベイ等を踏まえて当初計画を変更し、1分野から構築を開始したが、既に国内外の学会で発表を行っており、分析対象を拡大するなど、順調に進捗している。研究機関シソーラスについては、求められる要件を検討し、2つの引用索引データベースを対象に構築を進めており、ほぼ計画に沿って進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はWeb of Scienceに基づく研究機関シソーラス整備を重点的に進めるが、プロジェクト終了後の継続的な維持管理に配慮する必要があることなどから、特に重要な国・機関を選定するなど、効率的な構築に努める。また、機関の統合・分割・再編に配慮し、特に重要な機関については部局単位での整備を検討する。 研究者データベースについては、平成23年度の成果を踏まえて引き続き整備を進め、研究者のキャリアが国の論文生産や引用等に与える影響の評価や、研究プロジェクト評価等への活用を進める。 指標の検討については、平成23年度より順調に進捗しており、引き続き科学技術研究所やデータ・情報基盤に関する専門委員会等の場を活用して国として整備すべきデータ・情報基盤や指標について検討を進める他、(1)重要なアクター(ファンディングエージェンシー及び大学)で求められる指標の検討、(2)イノベーションとの連接に必要とされる指標(特許による科学論文引用)について、実際のデータでの検証に向けて深めていくこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究者データベースについては、研究代表者自身による試行的構築を踏まえて進める必要があり、人員を雇用する期間が不足したため、人件費等の一部が未執行となったが、引き続き人件費として平成24年度に使用することとする。また、研究分担者の平成23年度繰越分については、今年度積算した物品費が小額であるため、研究遂行に必要な物品・消耗品や平成25年度に予定している国際会議論文の英文校正等に充当する。 平成24年度研究費については、予定通り、データベース構築に係る人件費と打合せ旅費に使用する。
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