2013 Fiscal Year Research-status Report
人口密度分布のポテンシャル分析による東南アジア大陸部人口動向の解明
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23500307
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
梅川 通久 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (80372548)
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Keywords | 東南アジア地域大陸部 / 人口密度 / 地理情報 / 数値計算 / ハノイ / バンコク |
Research Abstract |
本年度は主として現地調査の進捗と理論研究側のデータ取得を行った。また、主たる研究目的の周辺事象としての、アジア地域における人と文化の流れに関連した調査活動への協力を関連事項として行った。 調査活動では、対象とするタイ・バンコク市及びベトナム・ハノイ市のうち、ハノイ市の予備調査を実施した。これは、バンコク市で昨年度までに実施した様な中心河川両岸における市街地の構造と人口分布の関連のデータ取得と同様の本調査をハノイ市でも実施するにあたっての問題や留意すべき点の把握の為に行ったものである。予備調査の結果、本調査地区選定をハノイ市で行うこと自体は予定通りであるものの、交通事情等により、バンコク市と同様の調査手法をハノイ市に適用する事が物理的に困難である可能性が見えた。結果を受けて、調査内容再考の為に本調査渡航を来年度に延期した。 数値シミュレーションによる理論研究に関しては、新規のデータを一部入手すると共に引き続き網羅的なデータ取得の方法について検討を続ける一方、データ分析の為の環境を更新した。新規データについては、まったく新しい性質の情報が得られない場合は、計画に従ってこれまで使用したデータと同じ情報源のデータについて、なるべく最新のものを使用して最終的な分析に資する数値計算を今後行う。また、今年度の後半から理論的背景を取りまとめた論文を執筆中であり、最終年度中に投稿する予定でいる。 関連として、東アジア地域の人と文化の流れに関連する研究への協力を行い、京都国立博物館における「金剛妙経文句」白点調査に同行した。人と文化の流れにおけるユーラシア大陸終着地としての我が国の状況を知ることにより、本研究での東南アジア地域大陸部における人口の流れというテーマについて定性的理解を深める調査となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度からの研究遂行を受けて理論研究の基礎確立と予定された現地調査活動の中でタイ・バンコク市に関する調査をすでに実行した状況で、本年度はもう一方の調査対象であるベトナム・ハノイ市に関する予備調査までを実行できた。予備調査の結果を受けた本調査活動を年度末にかけて行う予定であったが、予備調査によって技術的な問題の存在が明らかとなり、その解決方法を検討する為に本調査を延期したことが、やや遅れているとした具体的事柄の一つである。これは、都市の構造に関して建築物の計数などを無作為抽出した調査区域内で行うことを計画しているものの、バンコク市での調査と同様に市街地での画像記録等を取得することで行う場合、ハノイ市の交通事情では危険性があり、同様の調査が困難であるというものである。縮小や統計的推定などを導入することで回避できる困難は回避しつつ、次年度の調査実現に向けて活動内容を調整する。 また、数値計算を利用した理論研究部分について、現地調査や日本国内の調査により研究の遂行に必要な元となる情報の一部を取得した。ただし、内容が網羅的ではないことと数値計算に乗せるための形式変換が困難である為、詳細な数値計算の実行にはまだ至っていない点で、若干の遅れと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度である為、現地調査によるバンコク市およびハノイ市の比較という実践研究部分、背景となる理論研究部分と実践研究部分の比較研究、そして期間内で実施した研究全体を通じた総合的分析を行う。その為に必要な要素の中でただひとつ本調査に至っていない予定項目である、ハノイ市の現地本調査を実行する。 理論研究の実施に関しては、詳細データを網羅的に入手した後に当初の計画における最も進捗した段階まで研究を進めるよう努めるが、基礎データ収集や数値計算に乗せられる形式への変換に関する可否の具合に依存して、低解像度データによる数値計算結果を用いた理論・実践比較を行うことにより分析を行う可能性もある。考えうる成果の公表の仕方としては、理論研究を取りまとめた論文執筆と研究発表、理論・実践に関する発表などを行い、その上で本研究全般としての成果とりまとめを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度実施予定だったベトナム・ハノイ市本調査渡航を次年度に延期した為、当該調査渡航にかかる費用に相当する金額について次年度での使用とした。 延期の理由は、予備調査によって昨年度までタイ・バンコク市で実施したのと同様の調査方法をそのまま適用することが交通事情などから困難であることが判明したことから、実施方法の詳細を検討した為である。繰越す金額は、過去の調査渡航において実際にかかった経費からおよその額を見積もった。 この金額と次年度で本来的に交付される分とを合算して、ベトナム・ハノイ市の本調査渡航の費用として使用する。渡航は1週間程度の期間で1~2回行う。ハノイ市の中心河川である紅河両岸の市街地からサンプル地域を無作為に抽出し、さらにその地域内で一定条件で抽出した沿道建築物について記録をとり計数を行う。同様の資料をすでにタイ・バンコク市の調査で取得しているので、両者の比較を行いまたセンサス情報との対比等とも組み合わせることで、研究の結論や今後の活動に向けた資料とする予定でいる。
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Research Products
(2 results)