2014 Fiscal Year Research-status Report
人口密度分布のポテンシャル分析による東南アジア大陸部人口動向の解明
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23500307
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
梅川 通久 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (80372548)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 東南アジア地域大陸部 / 地理情報 / 数値計算 / ハノイ / バンコク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続いて、当初より計画している数値計算による理論研究と現地調査による実践的研究のうち、ベトナム・ハノイを対象とした実践的研究の部分を実施した。現地調査は、ハノイ市内中心部の紅河両岸地域に1キロメートル四方の区画を設定し、左右岸それぞれから3地域ずつランダム抽出を行う事で、調査地域を決定した。区域内の道路について、最も規模の大きいものおよび2番目の規模となるものを地図上で事前に選定し、その北・東側沿道における建築物の構成を目視で記録することで、その地域の居住状態の指標として利用する。これは、本研究により以前行われたタイ・バンコク市における調査と同様の定義・手法となる。 本年度行ったハノイ市の調査の一部区画についてのとりまとめを先行することで、試行となる分析を行った。建築物については、居住の状態を基準として典型的なショップハウス型の市街地建築物、一戸建て住宅、商業施設のみ等8通りの分類を行い、共通する基準からそれぞれの分類毎に期待される居住者の相対的人数を算出し、その調査区域内の合計数を調査道路の総延長で割ったものをその区域の居住状態の指数とした。同様の基準で、全ての調査区画について同じ指数の算出作業を行う。この1区画の先行分析を行ったことにより、適切な数値の規格化を行うことができれば、比較的小規模な調査活動によって、正確な人口統計等の情報が無くとも地区の相対的な人口分布情報の見積もりが可能であることがわかった。 この試行的分析をもとに、東南アジア広域についての理論研究手法も踏まえて、階層を越えた分析を統一的に行う手法を考察する第一歩として、理論の基礎部分の説明と今回実施した実践的調査の分析の概要をまとめた国際会議集録論文を、結論の公表に先んじて執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画当初の準備調査等の活動に遅れが生じたことを受けて、研究計画を順次送らせて実施した結果、全体としては若干の遅れが生じている。都度の研究の遂行自体に関しては、調査と理論研究双方について概ね予定通り達成されている。全体を通じた遅れの結果、最終的な研究成果のとりまとめ段階の時期が平成27年度となる。最終的に、総合的な分析とその結果の公開等の活動を中心として、今後研究計画を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度にあたっては、主として得られた数値計算および調査結果を元にして、具体的なデータの分析およびそれによって得られる階層構造を越えた総合的な地理情報に関する研究手法の考察や体系化を行う。また、それらについて論文や会議での公開などの公表活動を、主として行う。現地調査に関しては、これまでの研究活動によって得られたデータの質等について問題が生じた場合や追加情報を得る必要が生じた場合には、短期間の追加的調査を行う可能性がある。
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Causes of Carryover |
研究計画のうち調査活動に関わる部分について、予備調査活動の遅れから本調査活動の計画を順次遅らせて実行した関係で、最終年度における総括的な分析と成果公開に関する出版費用や旅費等に未使用が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果公開に関連する出版費用、および学会や研究会での発表を行う為の旅費等に使用する。また、消耗品等の物品購入に必要に応じて使用する。
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Research Products
(2 results)