2013 Fiscal Year Research-status Report
Historical GISのための歴史的境界線情報の実践的データ化に関する研究
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23500317
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
加藤 常員 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 准教授 (50202015)
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Keywords | 地理情報システム / 歴史情報 / Historical GIS / 旧境界線 / 村境界 / 空間情報 / シエープファイル |
Research Abstract |
昨年度までに開発した歴史的境界線のデータ化システムの試行を進めた.継続的なシステムの試行を通して判明した不具合と思われる点について検討し,システムの改良を行った.改良したシステムについてまとめ,IPSJ SIG-CH/PNC/ECAI/CIAS Joint Symposium 人文科学とコンピュータシンポジウム2013にて報告を行った. 開発を進めるシステムは推定する歴史的境界線で形成される領域の概形を入力するが,従前のシステムでは概形を多角形で入力していた.しかし多角形の概形入力では推定境界線が曲線である場合,必然的に多くの節点を設定することが要求される.また,あいまいな境界線への対応の際,難点になると示唆された.これらから,昨年度に3次のBスプライ曲線を用いた閉曲領域指定による入力系を開発した.しかしながら,すべてを曲線で設定では想定境界線が直線的な箇所では上手く行かない.多角形指定と閉曲線指定の融合が必要と考え,両者を混合設定可能にすべく開発を行った.従前では多角形の各辺設定(補間)にはブレゼンハムの直線走査のアルゴリズムを援用していた.曲線と直線を接合および補間度合いの制御や操作の一貫性など考慮し,直線部分指定には1次のBスプラインを採用することで,Bスプラインの一貫した処理系で直線と曲線を混合した領域指定が実現できた.その結果として意図した概形の入力が容易になると共に,相対的な作業量およびシステムの負担の軽減が実現できた.当該システムは本課題での核心的な部分であり,その入力系はシステムの実践的に使用されるかどうかの肝となる部分である.そうした意味において本年度の開発,改良は重要であり,その意義は大きい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は前年度の検討結果を踏まえ1.歴史的境界線を生成方法およびシステムの実践的構築に着手,2.藩政村の代表点の設定方法を検討,3.システム入力データおよびシステムで生成される歴史的境界線データのデータベース化と活用について検討,4.構成されたファイルを先行研究「江戸時代における人口移動分析システム」で開発済みのGISエンジンに取り込み,必要に応じてGISエンジンの改良を行う,5.旧幕政村の実地調査を行い,代表点の設定についての検討・手順化を試みる,の方向であった. 各項目の推進状況は,1および4について多くの時間を費やし,2,5については各検討を行ったがそれ以上の状況には至らなかった.また3についてはメタデータやデータモデルについて検討および設計を試みた.実コンテンツを用いた実践的なデータの作成にはまだ未着手である.以上のような状況から課題の達成度はやや遅れていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方針は本課題の最終年度で当たるため,本年度の遅れを取り戻すと共に実資料(コンテンツ)を用いた実践データの生成系の確立を目指す.現行システムを実践向けの仕様し,摂津国および武蔵野国多摩郡の藩政村の境界線の空間データ化を実施し,実施を通して歴史的境界線の空間データ化の手順の整理・検討を行う.その検討結果を踏まえ,手法の標準化,マニュアル化,システムの完成を目指す. 次年度は1.システムの実践仕様への改編(ベースマップ,対象地域の既存空間データの取り込み方法,生成される歴史的境界線データの出力書式等)2.攝津国,多摩郡の基本データ・コンテンツの収集整理およびシステム入力データの作成(スキャニング,サイズ調整など),3.実践データを用いた歴史的境界線データの生成,4.生成された歴史的境界線データの評価,5.仕様書,マニュアル類の作成6.成果の学会等での報告,システムの公開を行い,課題の完遂する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
システムの改良や先行研究で作成したシステムとの融合などに時間がとられ、資料収集等の出張ができず、旅費、謝金の支出が無かった為、次年度使用額が生じた。 次年度の研究推進に当たり必要な主な費用は,1.提案手法およびシステムの実践的へ向けた環境を整える必要がありハードウェアおよびソフトウェアに関わる費用.2.藩政村の村名称の収集および村位置(代表点)情報の設定の実地調査および計測,データベース化に関する謝金等の費用.3.歴史的境界線データ化の対象地域(摂津国および武蔵国多摩郡)の史料(資料)の調査・収集・整理・データベース化に関わる旅費,謝金等の費用.4.構築したシステムの試行実験および実験結果の整理,評価,公開などに伴う謝金等を想定.5.成果の発表,公開に伴う旅費,謝金を想定している.
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Research Products
(2 results)