2012 Fiscal Year Research-status Report
心理物理学的逆相関法による高次認知判断プロセスの推定法
Project/Area Number |
23500321
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡部 修 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50343017)
|
Keywords | 心理物理学 / 逆相関法 / 統計量 / 刺激分布 / カーネル |
Research Abstract |
逆相関法あるいはCI(classification image)法は,実験で用いた呈示刺激と被験者応答の統計量から,被験者の認知判断に関わる脳内演算を推定する手法であり,脳の認知メカニズムの解明に新たな知見を与えると期待されている.しかし,この手法は実験で用いる刺激に強い制約を課すため,その利用は比較的初期の認知機能の実験にとどまっている.本研究課題は,従来の逆相関法を拡張し,高次認知機能の実験にも適用できる新たな方法を確立するとともに,実際に視覚心理実験に適用してその有効性を検証することを目的としている. 平成24年度は,前年度に提案した刺激分布の制約のない分析手法の有用性を確認するため,運動視に関する心理実験を実施し,データの収集を行った.具体的には,RDK(random-dot kinematogram)刺激を用いた運動透明視実験と,様々な時空間周波数を持つグレーティング刺激を混合したチャネル間相互作用実験の二つを,並行して実施した.これらの実験は,2次以上の高次の非線形プロセスの存在が期待できるため,提案手法の有用性の確認に適していると考える.また,これと並行して,少数の試行でカーネル分析を可能にする適応的手法について,理論的な検討を行った.これは,QUESTの様に,カーネル推定に寄与する被験者判断境界付近の刺激を適応的に探索するものである.このアルゴリズムを提案し,計算機シミュレーションによって妥当性を評価した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り,提案手法の検証のための実験データ収集,およびこれと並行して適応的手法の検討を行い,その成果を学会等で発表した.このため,現在までのところおおむね順調に進展していると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に収集した実験データから推定されるカーネルの妥当性を検証する.具体的には,人の運動知覚に関する計算理論,および実験的知見と比較し,推定カーネルがこれらの知見と整合性があるか確認する.また,推定カーネルから,各被験者の運動知覚特性を予測できる.この予測を検証する追加実験を行い,推定カーネルの妥当性の証左とする.また,適応的手法を用いた実験データ収集も行い,同じカーネルがより少ない試行数で得られることを確認する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
心理実験およびデータ分析に必要な設備はすでに導入している.このため,次年度の研究費は研究成果発表にかかる費用(旅費,学会参加費,論文別刷費)が主要なものとなる.平成24年度の成果の一部についても,一部は年度をまたいで次年度に発表する.このため,次年度使用額が生じているが,これは研究成果発表にかかる費用の一部として使用する.
|
Research Products
(10 results)