2013 Fiscal Year Research-status Report
発話における遠心性コピーの神経機構:頭蓋内脳波による検討
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23500322
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
丹治 和世 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20512619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳川 透 独立行政法人理化学研究所, 適応知性研究チーム, 研究員 (80568858)
舟生 勇人 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40436209)
岩崎 真樹 東北大学, 大学病院, 助教 (00420018)
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Keywords | 中心前回 / 運動野 / 運動前野 |
Research Abstract |
発話のセルフモニタリングにおける遠心性コピーの神経基盤を解明するために、発話の運動面に密接な関連のある中心前回、および聴覚関連領野のある上側頭回に着目し、難治性てんかんおよび脳腫瘍の症例において、動詞生成課題遂行時の頭蓋内脳波の測定を行った。 中心前回に関しては、脳腫瘍症例の覚醒下手術中、聴覚及び視覚刺激を用いた動詞生成課題遂行中の頭蓋内脳波誘発反応を測定した。本課題においては、視覚または聴覚刺激で名詞が呈示され、2秒間のインターバルの後、キューを表示させる。被検者は、名詞が呈示された後、呈示された単語に関連する動詞を想起し、コンピュータ画面上にキューが出現した後、想起した動詞を構音するように指示した。3症例において、本課題遂行中の頭蓋内脳波における誘発反応を測定した。その結果、3例中3例で、中心前回腹側において、聴覚刺激に対する反応がみられ、これらのいずれの電極でも運動反応を伴った。これら3例のうち1例では、腫瘍の摘出のために、聴覚反応が検出された部位を切除した。術後、この症例では高次の構音異常である発語失行をきたした。特筆すべきは、本例では構音の歪みのほかに音の系列化の異常がみられたことである。今回の観察から、中心前回のなかでも、聴覚情報の入力を有する部位の損傷により、構音運動の遂行、とりわけ系列化に障害が生じることが示された。本症例において切除されたのは運動前野に該当する部位であり、運動前野が、聴覚入力をもとに、音韻表象が運動表象として系列化される際に重要な機能を担う部位であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、聴覚野から記録した頭蓋内脳波から、聴覚呈示した音節のデコーディングを行い、それをもとに遠心性フィードバックについて解析する予定であった。上側頭回に電極が留置された例において、音節のデコーディングを試みたが、有意な結果は得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
頭蓋内脳波および症例の構音異常に関するデータを解析し、論文にまとめ報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度に頭蓋内脳波解析を完了し、その結果をもとに学会発表を行い、論文を作成する予定であったが、予定よりも被検者数が増えたため、解析が終了していない。そのために未使用額が生じた。 このため、頭蓋内脳波の解析と論文の投稿を次年度に行うこととし、未使用額はその経費(主として論文投稿料)に充てることとしたい。
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Research Products
(6 results)