2013 Fiscal Year Annual Research Report
異なる課題要求をもつ視覚・運動課題における対象物の把持位置の乖離に関する研究
Project/Area Number |
23500325
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
片山 正純 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90273325)
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Keywords | 対象物 / 把持運動 / 把持位置 / 課題要求 / 不慣れ |
Research Abstract |
本研究では,対象物の把持位置計算に関する脳内メカニズムの解明を目指して,対象物を把持してテーブルから持ち上げる持ち上げ課題,および対象物を把持するが持ち上げないつまみ課題,目で見て把持位置を推定する視覚課題のそれぞれにおける把持位置について調べており,持ち上げ課題と視覚課題の把持位置が異なっており,視覚課題とつまみ課題の把持位置が一致することを報告した.我々は,持ち上げ課題の把持位置計算には大脳皮質の視覚経路である背側経路が関与しており,視覚課題とつまみ課題の把持位置計算には腹則経路が関与しているのではないかと考えている(我々の仮説).一方,先行研究において,慣れた指での把持には腹則経路が関与し,普段使い慣れていない指での把持腹則経路が関与している可能性があることが指摘されている.そこで,我々の仮説の妥当性を検証することを目的として,H25年度には,普段使い慣れた指での把持(慣れた把持)と使い慣れていない指(例えば,母指と薬指)での把持(不慣れな把持)での把持位置について調べた.この結果,普段使い慣れた指での持ち上げ課題では重心に近い位置を把持するが,使い慣れていない指ので持ち上げ課題ではつまみ課題とほぼ同じ位置を把持した.また,つまみ課題に関しては,普段使い慣れた指と使い慣れていない指でのそれぞれの把持位置には差がなく,視覚課題と同じ把持位置となった.これらの結果は,脳内での把持位置計算には運動の熟練度も関与していることを示している.さらに,これらの結果は我々の仮説からの予測結果と一致しているため,我々の仮説の妥当性を支持している.
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