2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500333
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
牧岡 省吾 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (60264785)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 真彦 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (40254445)
|
Keywords | 共感覚 / クロスモーダル / 心的数直線 / 自己組織化 / ナンバーフォームズ / 色字共感覚 |
Research Abstract |
平成23~24年度に行った心理実験により、仮説1)「異種感覚次元間の自己組織化学習は非共感覚者においても行われている」については肯定的な結果が、仮説2)「色字共感覚などナンバーフォームズ以外の共感覚においても自己組織化学習が行われている」については否定的な結果が得られた。仮説1)についても十分な証拠が得られたとは言い難いため、平成25年度は仮説1)を検討する追加実験を行った。これまでの実験で比較的安定したデータが得られることが分かっている音声課題(画面上に呈示された二つの数字の大きい方を読み上げる際の反応時間を測定する)を用い、実験参加者一人あたりの試行数を大幅に増やして実験を行った。その結果、以下の結果が得られた。 1)数字ペアの位置関係が反応時間に与える効果は個人間で異なっていた。H25年度に行った実験では、個人内での統計解析により、個人ごとに異なる傾向が有意にみられることを示すことができた。 2)数字ペアの差が1の場合と2の場合を比較することによって、差が1の場合の反応時間の傾向から、差が2の場合の反応時間の傾向を予測できることが分かった。これは、本研究で測定した反応時間の分布が、呈示された数字の空間的位置関係を確かに反映していることを示す。 3)2ヶ月の間隔を空けて同じ参加者を対象に実験を繰り返したところ、参加者によって、数字ペアの位置関係の効果が変化している場合と、変化していない場合があった。 数の認知に関する研究においては、主として数字の偶奇判断課題の結果をもとに、アラビア数字を用いる文化圏において心的数直線が左から右に延びているという見方が主流となっている。本研究の結果はこのような見方に一石を投じるものである。本研究の成果により、心的数直線の多様性を自己組織化学習という枠組みによって説明できるものと思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来は仮説1)「異種感覚次元間の自己組織化学習は非共感覚者においても行われている」の実証を1~2年で終え、研究期間の後半で仮説2)「色字共感覚などナンバーフォームズ以外の共感覚においても自己組織化学習が行われている」の検討を行う予定であったが、安定したデータを得ることができるような実験条件の探索に時間がかかり、平成25年度までに仮説2)の検討を十分に行うことができなかった。仮説1)の検討に関しても、実験参加者の数が十分ではないために研究期間を延長し、平成26年度に引き続き実験を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
仮説1)「異種感覚次元間の自己組織化学習は非共感覚者においても行われている」の実証のための実験を引き続き行い、学術論文の投稿に必要な参加者数を確保する。実験と分析の方法については既に確立しているため、新たな参加者を対象に実験を進めることによって十分なデータが得られるものと期待される。仮説1)の実証だけであっても、数の認知過程に関する従来の見方を覆すものであり、十分な成果と考えられる。仮説2) 「色字共感覚などナンバーフォームズ以外の共感覚においても自己組織化学習が行われている」の検討は現有の設備で可能であるため、研究期間終了後も引き続き継続していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に予定していた実験をすべて終えることができなかったため、平成26年度中に実験を行い、得られた結果に関する論文を執筆する予定である。 実験参加者への謝礼(図書カード)として5万円程度、英語論文の校閲費用として8万円程度を予定している。
|
Research Products
(3 results)