2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500334
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
菊池 眞之 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 講師 (20291437)
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Keywords | 視覚情報処理 / 心理物理実験 / 神経情報処理 / 3次元物体 / 図地分離 / 凹凸 |
Research Abstract |
3次元物体の凹凸特徴の知覚における重要な問題として,ヒトにとっての凹/凸が物体の中心との距離が局所的に最小/最大となるような表面上の部分なのか,観察者との距離が局所的に最小/最大となる部分なのか定かでないことが有る.最終年度の取り組みの一環として,上記についてのヒントを得るための心理物理実験を実施した.球面の一部に凹または凸特徴を付与した半透明3次元物体表面をRDSで表現し,凹/凸特徴部と物体中心が被験者の視軸上に載る配置で立体表示させた.凹/凸特徴尖度の知覚感度を4名の被験者を対象に測定する実験を行った.一部被験者にシステマティックな傾向を見出せたものの,被験者間で相違もある.刺激の視認性が必ずしも高くない等の問題も残存し,本格的実験実施に向けた改善が必要である.また, 2次元閉曲線から知覚される3次元形状について調べる研究では,心理実験結果の生じる要因を見出すための第1歩として階層ニューラルネットワークを用いて2次元閉曲線の入力パターンからの3次元表面構造の知覚結果への変換の学習を行わせた.その結果,概ね入出力関係を低レベルの誤差で近似できるようになった.今後,ネットワークの獲得した性質について吟味してゆく.一方,物体境界の物体内部方向への知覚的変位の現象に関して,心理物理実験により境界のみならずその内外も含めた空間変調の様子を2次元において捉えることができた.今後は3次元知覚の調査へと次元拡張してゆく.以上が最終年度の成果である.研究期間全体での成果としては上記の他に,2次元閉曲線から知覚される3次元表面構造の測定,物体境界の内部への知覚的位置変位の現象の分析,3次元物体表面の運動知覚の凹凸構造依存性の発見等が挙げられる.全体を概観すると,解明途上のものもあるが3次元物体認知特性について凹凸知覚の観点から新たな光を当てることが出来たといえる.
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