2011 Fiscal Year Research-status Report
行動実験と計算機モデリングの統合的アプローチによる洞察プロセスの解明
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23500335
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
清河 幸子 中部大学, 人文学部, 講師 (00422387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松香 敏彦 千葉大学, 文学部, 准教授 (30466693)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 認知科学 / 実験系心理学 / 計算機モデリング / 洞察問題解決 |
Research Abstract |
本研究では,行動実験と計算機モデリングという2つのアプローチを双方向的に用いることによって,洞察問題解決プロセスを明らかにすることを目的としている。今年度は,2つの行動実験と1つの計算機モデリングを行った。 実験1では,自らの思考を言語的に振り返ることが洞察問題解決に及ぼす影響を検討した。自らの思考について言葉で振り返る条件,図を用いて振り返る条件,無関連な課題を行う統制条件を設定し,洞察問題の解決成績を比較した。その結果,振り返りによる明確な影響は確認できなかった。 実験2-aでは,解決者自身が目標設定を行うことが洞察問題解決に及ぼす影響を検討した。最初に自分で目標設定を行う条件(目標設定条件)と,目標設定を行わない統制条件の解決成績を比較したところ,先行研究とは異なり,目標設定を行うことはむしろ解決を妨害していた。しかし,実験2-bにおいて,自ら設定した目標とは異なる解も許容したところ,目標設定条件において統制条件よりもよい結果が得られた。以上の結果から,(1) 他者によって与えられる目標と自ら設定した目標では影響が異なる可能性があること,また,(2) 目標は作業仮説あるいはプランとして機能していることが示唆された。 計算機モデリングについては,Tパズルを解くモデルを,ベイズ的学習アルゴリズムを用いて構築した。当モデルでは,Tパズルを遂行するにあたり,どのような行動が適用されていないか,といった顕在化された行動ではなく,顕在化されなかった行動の可能性を評価し,学習した。計算機シミュレーションの結果,至極単純な評価関数(正解ならば1,不正解なら0)を用いた場合によっても,顕在化されなかった行動パターンを記憶し,データとして用いることによって,正解が得られることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた2つの行動実験を実施することができた。実験1に関しては,教示に従わない参加者が多く見られたため,教示や課題の見直しを行って追加実験を行う必要がある。実験2については,先行研究とは異なる新たな知見を得ることができた。 計算機モデリングについては,先行研究の仮説を組み入れたモデルを1つ構築することができた。また,隠れマルコフモデルを応用した洞察課題解析法の開発を目的として,計算機シミュレーションを基に,予備実験を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
行動実験に関しては,実験1において,改善すべき点が見出されたため,教示,課題を改良した上で追加実験を実施する予定である。また,実験2において収集されたビデオデータを分析することにより,実験参加者が用いていた方略についての詳細なデータを得,計算機モデリングにつなげることを予定している。 計算機モデリングについては,先行研究の仮説を組み入れることに重点を置いたため,シミュレートされた行動パターンが現実のデータと比べると粗かった。この点を改善し,より現実的なモデル・計算機シミュレーションを行う必要がある。また,現在実施中の予備実験をさらに進めて,マルコフモデルを応用した解析法の開発を引き続き行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験補助者に対する謝金,研究成果発表のための国内外への出張旅費および英文校閲代として使用する予定である。
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