2014 Fiscal Year Annual Research Report
“気がきく”ことの加齢変化とその機能的メカニズムに関する認知神経心理学的検討
Project/Area Number |
23500337
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Research Institution | Graduate School of Health Care Science, Jikei Institute |
Principal Investigator |
石松 一真 滋慶医療科学大学院大学, 医療管理学研究科, 准教授 (30399505)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 構成概念 / 加齢 / 展望記憶 / 個人差 / 尺度構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「気がきく」ことの機能的メカニズムを認知神経心理学的観点から解明することを目的とし、1.「気がきく」ことの評価課題の作成、2.「気がきく」ことに生じる年齢差の検討、3.「気がきく」ことと展望記憶との関連性の検討、の3つのサブテーマを設定した。 本年度は“気がきく”尺度などを用い、高齢者を対象とした質問紙調査を実施した。63歳から91歳までの高齢者528名から得られたデータについて、「気がきく」ことに生じる年齢差、及び「気がきく」ことと展望記憶との関連性について検討した。また、展望記憶課題(石松他, 2006)をはじめとしたPCベースの認知課題を用いた実験室実験を実施した。 まず“気がきく”尺度の総得点と年齢、教育歴、気がきく程度の自己評価、日本語版PRMQ (Gondo et al., 2010)、抑うつ状態自己評価尺度(CES-D)などのスコアとの関連を検討した。結果、総得点と気がきく程度の自己評価スコアとの間に有意な相関(r = .437)が認められ、“気がきく”尺度は高齢者においても自己評価を反映する尺度となっていることが確認された。また“気がきく”尺度の総得点と日本語版PRMQで測定した展望記憶スコア(r = .325)やCES-Dスコア(r = .365)との間に有意な相関が認められた。一方、総得点と年齢(r = .037)や教育歴 (r = .098) との間には顕著な関連は認められなかった。 次に“気がきく”尺度の項目が想定通り3因子構造になるかを確認するため、20の質問項目について探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行った。結果、3因子を抽出したものの、例えば高齢者と若年者など、年齢層によって“気がきく”ことの構成概念が異なる可能性が示唆された。 これら質問紙調査の結果と実験室実験の結果を踏まえ、「気がきく」ことの機能的メカニズムについて検討した。
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Remarks |
研究代表者が、平成26年9月16日から平成27年3月15日までの6ヶ月間、日本学術振興会平成26年度特定国派遣研究者(ノルウェー)としてノルウェー航空医学研究所にて研究に従事したため、予定していた実験室実験は、帰国後実験規模を縮小して実施することとなった。その結果発生した本年度の未使用額654,714円は、返還することとした。
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Research Products
(1 results)