2012 Fiscal Year Research-status Report
ベルンシュタイン多項式による密度推定法の統計理論とその応用に関する研究
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23500339
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柿沢 佳秀 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30281778)
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Keywords | 密度推定 / 境界バイアス / ノンパラメトリック / 平滑化パラメータ |
Research Abstract |
本研究の主たるキーワードは『ベルンシュタイン多項式』であるが、広い意味で統計科学のカテゴリーの1つである『ノンパラメトリックな関数推定』を理論面及び実用面から追求することを目的とする。24年度は、 (1)23年度研究成果の1つである「ベルンシュタイン密度推定量の加法型・TS積型バイアス修正」に関する数値実験を今年度の初期に実施し、8月に専門雑誌へ投稿した。 (2)台が半無限区間である場合に、ガンマカーネル密度推定量が先行研究で扱われていたが、そのAMISE不等式を調べることで、ガンマカーネルの形状パラメータを調整し、AMISEを小さくすることに成功した。 (3)ガンマカーネル密度推定量に類似した先行研究を文献調査し、予備的な検討を加えることで、IG・RIG・BS・LNカーネル密度推定量には境界バイアス問題があることを示して、境界バイアスのない密度推定量を再定義した。それらの再定義された密度推定量はIG密度とRIG密度の混合密度(MIG)に付随する非対称カーネル密度推定量であり、それらの一般化にも成功した。特に(2)の成果との関連で、提案したクラスの中でAMISEを最小化する密度推定量を導いた。 (4)MIGカーネル密度推定量の改良として加法型・TS/JLN積型バイアス修正を考察し、それらの漸近性能を調べた。 (5)(1)の改訂として「TS型に対する精緻化」に成功し、数値実験も再実施した。TS型では密度推定量の非負性があるものの、積分条件が崩れるため、規格化されたTS型密度推定量の漸近性能も調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)「ベルンシュタイン密度推定量の加法型・TS積型バイアス修正」に関する論文を8月に専門雑誌へ投稿し、その改訂作業から「TS型に対する精緻化」「数値実験の再実施」「規格化されたTS型密度推定量の漸近性能の検討」を進めている。 (2)先行研究で扱われたガンマカーネル密度推定量は振るまいがよいと認識されているが、実はガンマカーネルの形状パラメータを微調整するとき、AMISEを小さくできることが分かり、それは数値実験からも検証された。 (3)先行研究のIG・RIG・BSカーネル密度推定量には境界バイアス問題があることが分かり、境界バイアスのない密度推定量へと再定義した。さらに、そのような再定義は変形ベッセル関数に付随する密度推定量へと一般化されて、提案したクラスの中でAMISEを最小化する密度推定量を導いた。また、サブクラスであるMIGカーネル密度推定量に対し加法型・TS/JLN積型バイアス修正を考察し、それらの漸近性能も明らかにした。現在、このような流れでの研究成果について専門雑誌へ投稿する準備を進めている。 (4)(2)(3)において、提案された密度推定量毎の個別的な検討に留まらず、一般的な密度推定量の定式化をし、その枠組みの中で一般論を構築することを念頭に研究を進めている。なお、未だ完成形とは言えないが、既にそのような枠組みの概要を全国学会及び研究集会において経過報告している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)「ベルンシュタイン密度推定量の加法型・TS積型バイアス修正」で得られた理論検証としてシミュレーションを再度実施し、25年度早期に専門雑誌へリバイス投稿する。 (2)24年度、IG密度とRIG密度の混合密度(MIG)に付随する非対称カーネル密度推定量及びそれらの一般化に成功しているから、ガンマカーネル推定量との比較実験を交えて、25年度早期に専門雑誌に投稿する。 (3)23年度、24年度において、ガンマカーネル推定量及びMIGカーネル推定量の改良に関する研究を進めていたが、得られた理論の証明を再検討し、数値実験を交えて、25年度中に専門雑誌へ投稿する。 (4)(1)(2)(3)のように提案された推定量毎の個別的な検討に留まらずに、一般的な推定量の定式化をして、その枠組みの中で一般論を構築する。 (5)上記の諸結果について、実データ解析に耐えうる理論整備とその実装も目指して数値実験と予備的な実データ解析を実施し、数値的傾向から示唆された見地を理論研究へフィードバックさせる。 (6)学会・研究集会・ワークショップに参加・発表して関連領域の最先端の研究動向を掴み、他研究者と意見交換をし、他研究者からの意見を求めることを経て、研究の質を高めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(5 results)