2012 Fiscal Year Research-status Report
心理的バイアスを考慮した意思決定問題に関する計算モデルの開発とその応用
Project/Area Number |
23500342
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
庄司 功 筑波大学, システム情報系, 教授 (20282329)
|
Keywords | 異時点間最適意思決定問題 / 損失回避 / リスク回避 / 双曲型割引 |
Research Abstract |
平成24年は、昨年度開発した計算アルゴリズムに従って、n-期間最適配当金分配問題に関する数値実験を行った。 実験では、n=3ないし4と設定して、3期ないし4期の最適分配問題を考えた。理論上nが5以上の場合も実験可能であるが、実際に計算を行ったところ、処理時間が予想以上にかかったため、本設定で行うことが適当と判断した。 投資家の心理的なバイアスを考慮する場合としない場合を考え、最適分配計画にどのような違いが生じるかを比較検討した。実験結果によれば、投資家が近視眼的な利得追求をする場合は、再投資による利益よりも、直近の利益を優先する分配計画が導かれる。また、投資家が利得と損失において異なるリスク許容度を持つときには、途中に分配金を支払う解も得られることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来のファイナンス理論では説明することが難しい現象を実験で再現することができ、心理的なバイアスが最適分配計画に大きな影響を及ぼすことが確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の目的はほぼ達成できたものの、実際にはまだ数多くの理論では説明できないアノマリー現象があるので、これらを本研究のフレームワークで取り扱えないか検討する必要がある。 また、これと並行して、計算時間をより短縮化する方法が無いかどうかを再検討する必要もある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アルゴリズム的に計算時間の短縮化を図ることが難しい場合は、複数の計算機を同時に走らせて実験を行う必要があるので、更に計算機を購入する予定である。 また、アノマリー現象の調査のため、研究資料の購入も予定している。
|