2011 Fiscal Year Research-status Report
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23500350
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
内藤 貫太 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (80304252)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 平滑化 / パターン認識 / 高次元 / 生物統計 / 関数推定 |
Research Abstract |
研究計画調書・交付申請書に記載の通り、深化研究(数理的研究)、展開研究(手法開発)、応用研究(実データ解析)の3つを同時に進めた。 深化研究では、B-スプライン罰則回帰の漸近理論を構築した。このような漸近理論は整備が不十分であったが、この研究により漸近的結果に基づく、B-スプライン平滑化での推測手法の適用が可能となった。この研究は更に発展し、説明変数が多次元での加法モデルでのB-スプライン罰則回帰の漸近的結果の導出につながった。 展開研究においては、高次元小標本の枠組みでのパターン認識の問題について、正準相関分析から導かれる統計量に基づいた手法を確立し、その挙動を調べた。この結果は論文にまとめ投稿し、アクセプトに至っている。この研究はいわゆる2クラスでのパターン認識問題を議論したが、一般の多クラスの場合へ拡張ができあがった。多クラスのパターン認識では、誤判別確率の漸近評価に関しては理論的研究がほとんどなされていない中、誤判別確率の漸近上界を与えた。この結果は2クラスでの結果を数理的に含んでいる。多クラスのパターン認識のための変数選択、いわゆるFeature Selectionの議論は少ない中、本提案手法に基づくFeature Selectionの方法も合わせて開発した。多クラスへの拡張が出来たことにより、文字認識、画像認識、遺伝子発現量に基づく疾病種類同定などへの応用が格段に広がったことになる。 応用研究においては、変換の歪曲度をノンパラメトリックに推定するアイデアを具現化し、その理論計算を進めた。この理論計算は、変換のヤコビアンのノンパラメトリック推定に該当し、その汎関数の推定まで見据えると多くの応用を持つものである。また、様々な擬等角写像のパラメトリックモデル変換について、その歪曲度を理論的に求め、その推定量を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書・交付申請書に記載の通り、深化研究(数理的研究)、展開研究(手法開発)、応用研究(実データ解析)の3つを同時に進めた。 深化研究では、B-スプライン平滑化の漸近理論の研究を進め、共変量が1次元の場合でまず結果を導出し、その後多次元の場合の加法モデルでの漸近的結果を導出した。セミパラメトリック平滑化の研究も同時に進め、Semiparametric Penalized B-Spline Regressionという新たな手法を考案し、その挙動を理論的・数値的に調べた。これらの結果をまとめ、2本の論文が投稿された。 展開研究において、正準相関に基づくパターン認識手法の挙動を、高次元小標本の枠組みで議論し、1つの論文を投稿し、採択された。多クラスへの拡張も行い、現在論文準備中の段階に至っている。また、応用研究では、引き続き歪曲度の推定問題に取り組んだ。 全体を見渡し、複数の論文投稿につながったことから、概ね順調に研究が進んでいるものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を評価・検証しつつ、基本的に23年度の研究を継続する。研究計画書に記載した、深化研究30%・展開研究40%・応用研究30%というエフォートの見直しは必要ないと判断している。深化研究において、離散応答のセミパラメトリック核型回帰推定量の挙動、およびスプラインに基づくセミパラメトリック分位点回帰について考察を開始する。日本で開催される国際会議IMS-APRMで講演発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に日本で開催が予定されていた国際会議が震災の影響でキャンセルとなったため、繰越研究費が生じている。その国際会議は改めて24年度に日本で開催されるため、その参加に研究費を使う。海外の研究協力者との討議のため、外国旅費を計上する。北海道で開催される学会での発表のための国内旅費も計上する。
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