2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500355
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
青木 敏 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (90332618)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 統計的実験計画法 / トーリックイデアル / マルコフ基底 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
Research Abstract |
本研究課題である、計算代数統計の統計的実験計画法への応用に関連し、多因子の一部実施計画により得られた頻度データの解析手法に関するいくつかの結果を得た。まず、2水準の一部実施実験で、実験回数が組合せ配置実験のちょうど半分となる、分解能最大のレギュラーな計画に対して、背後に想定した独立なポアソンモデルの期待値パラメータに対する検定問題を、マルコフ連鎖・モンテカルロ法で解く、というアプローチにおいて、必要となるマルコフ基底の構造を解明した。ここで扱ったのは、主効果モデルの適合度検定として利用できるものであり、マルコフ基底が、2次の生成系として得られること、および、極小マルコフ基底の構造の解明を行った。この結果は、2011年12月に香港にて行われた国際研究集会と、国内のいくつかの研究集会において報告した。また、関連した研究として、トーリックイデアルの生成系が既知であるような配置のいくつかに注目し、上と同じアプローチでマルコフ基底が利用できるような一部実施計画の性質の解明を行っている。これらについても、中心対称配置と応答局面法との関連など、いくつかの結果を得ており、現在、論文の投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上で述べた、一部実施度が2分の1の一部実施計画に対する主効果モデルは、最も対称性が高く、きれいな結果が得られることが期待できる問題であったが、(グレブナー基底の理論をもちいない)直接的な証明を導くことができたので、同様の手法が他のモデルにもある程度適用できると期待できる。また、性質が既知のトーリックイデアルに関しても、それに対応する統計学の問題がうまく定式化できるか否かは、全くの手探りであったが、中心対称配置と応答局面法との関係を解明することができ、突破口が得られたという実感がある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、グレブナー基底の理論が利用できる統計学の問題について、研究を進めていく。まずは、現在進行中の研究と同時に、既に以前得られた結果である、Segre-Veronese 型のトーリックイデアルと統計学の問題の関連について、更に研究結果を発展させ、統計的実験計画法との関連の解明も行う。得られた結果は、年度の後半に予定されている、米国での研究集会を始めとする多くの研究集会で、積極的に報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
代数学と実験計画法の、2分野の勉強が必要である、という現状に照らし、物品費は昨年度同様、書籍の購入が主になる見込みである。計算機環境などの研究環境は、現状で問題なく、年度を通して高額の物品の購入の予定は今のところない。旅費に関しては、10月の米国での国際会議や、北海道大学での学会での特別講演など、いくつかの出張が予定されており、昨年度よりも割合が大きくなる見込みである。
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