2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500355
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
青木 敏 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (90332618)
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Keywords | マルコフ連鎖モンテカルロ法 / イデアル / 実験計画法 / 一部実施計画 |
Research Abstract |
2010年に出版した論文において、一部実施計画により得られた計数データに対する統計モデルの当てはまりを検証するため、統計モデルの適合度検定の有意確率計算をマルコフ連鎖モンテカルロ法で行う手法を提案した。その際、与えられた計画行列に付随するトーリックイデアルの生成系を計算することが重要である。代数計算により生成系を得る一般論は知られているものの、計算量の観点からサイズの大きな問題では計算が困難であるという問題点があった。今年度、計画が2水準のレギュラーな一部実施計画である場合について、付随するトーリックイデアルが、代数学で比較的最近注目されている切断イデアルと関係があることを示し、無向グラフの性質とイデアルの生成系の性質の関連を明らかにした。この研究により、2水準の一部実施計画の一部が、切断イデアルとして解釈できることが分かった。この対応関係は、考える統計モデルの階層的な構造にも対応しており、統計モデルで母数を増やすことが、付随する無向グラフで辺を増やすことに対応することが分かった。さらに、特に計画の一部実施度が1/2の場合については、分割表データに対する類似の問題に対する接近法を利用した別な方法で、付随するトーリックイデアルの極小生成系の構造を明らかにした。いずれの結果も、実データに基づく数値計算により、マルコフ連鎖モンテカルロ法で得られた有意確率の推定値を漸近分布論に基づく推定値と比較し、提案手法の有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2水準のレギュラーな一部実施計画については、切断イデアルとの対応が本質的に重要な結果であると考えられ、この点は大きな成果である。一方、レギュラーでない一部実施計画、および、一般の多水準計画への拡張は、この方法では難しく、別の接近法を考える必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2水準のレギュラーでない一般の一部実施計画、および、一般の多水準計画を扱うために、より一般的な枠組みで問題を定式化する必要がある。これには、計画を点集合として一般的に扱うことができる、代数手法が最適である。まずは、一般の計画を0,1からなる二値分割表に変換し、その性質を調べることにより、代数的に扱えるイデアルとの関連を解明する。
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