2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500355
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
青木 敏 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (90332618)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | マルコフ連鎖モンテカルロ法 / イデアル / グレブナー基底 / 実験計画法 / 一部実施計画 / 多因子実験 / マルコフ基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
観測値が頻度であるような多因子に対する一部実施計画により得られたデータの解析手法について、本研究課題では、分割表データの解析手法と同様の、マルコフ連鎖モンテカルロ法による統計モデルの当てはまりの評価方法に焦点を当てていた。本課題では、マルコフ連鎖モンテカルロ法のために必要となるマルコフ基底の性質を議論するため、対応するイデアルの性質に注目した研究を行っており、前年までに、レギュラーな2水準の一部実施計画と、切断イデアルの性質の対応を明らかにする等の重要な結果が得られていた。一方で、多水準計画、特にレギュラーでない一部実施計画の取扱いに関しては難しい点が多く、ほとんど何も分かっていないという状況であった。本年度の研究において、3水準のレギュラーでない計画のひとつである、Box-Behnken 計画に対する主効果モデルが、代数学において D型のルート系とよばれる配置の中心対称配置に対応することが分かった。ここで考えている主効果モデルは、実験計画法の分野では応答曲面法の1次モデルとして知られるモデルを、離散変数の場合に拡張したものと解釈でき、各変数における水準の順序、および水準間の距離の両方に意味がある場合に有効な基本的なモデルと考えられる。本研究では、各ブロック内の処理の数が2であるような釣り合い型不完備ブロック計画から得られるBox-Behnken計画に対して、対応するグレブナー基底が2次生成となることを明らかにし、さらにその具体形を求めた。得られたグレブナー基底を用いて、人工データに対して主効果モデルの当てはまり評価をマルコフ連鎖モンテカルロ法により行い、その有効性を論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの結果が、2水準のレギュラーな一部実施計画に関するものに限定されており、また、多水準計画やレギュラーでない一般の一部実施計画に対しての拡張が困難と考えられていたため、今年度、3水準計画のレギュラーでない計画に関して結果を得ることができたことは、大きな前進と考えている。とはいえ、今回のD型のルート系に関する結果は、これ以上の一般化は難しいと考えられるため、応答曲面法における2次モデルの当てはまりの検証には使えないことが、実用上の弱点である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、多水準因子に対する一般の一部実施計画に関する解析手法の問題に取り組む。中心対称配置は、レギュラーでない計画の中でも、対称性により比較的扱いやすい対象と考えられるから、まずは今年度の結果を拡張した、一般的な釣り合い型不完備計画から得られるBox-Behnken計画に関して考える。
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Causes of Carryover |
3月31日をもって鹿児島大学を退職し、4月1日付で神戸大学大学院理学研究科に着任した。使用していた計算機一台が老朽のため、新たに購入を計画していたが、引っ越しに伴う故障のリスクを考慮して、新所属で着任後に購入することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算機一台を購入予定である。
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