2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500364
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
佐藤 整尚 統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (60280525)
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Keywords | 多変量自己回帰モデル / 分離情報最尤法 |
Research Abstract |
24年度においては、大規模データにおける、相互相関の有無を調べる方法の開発を行った。具体的には、データの差分系列に対して、ある直行変換を施した系列を計算し、この変換後の系列同志の相関係数を求める。これは分離情報最尤法と呼ばれるものであるが、これを行うことにより同時点のみならず、時間差がある場合の相関をまとめて検出する方法を開発した。さらに、多量のデータに対しても効率よく計算できるように、多変量データに対する並列処理のアルゴリズムを構築した。これにより、多数の経済変数間の関係の有無を高速に抽出できるようになった。昨年度に開発した季節性や異常値などを検出する方法と組み合わせて、非定常な一般の経済時系列間の関係性をとらえることが可能になった。しかしながら、この方法ではトレンドに含まれる相関関係の可能性をとらえるだけで、実際に、どのくらいの値であれば、関係があるといえるかは難しいので、具体的な閾値の設定には至っていない。また、定常部分における相関はこの方法ではとらえられないので、別に考える必要がある。次年度に関しては、この点に関しても研究を進めたい。 データベースの構築については商用のデータベースを利用することは、コスト的な観点やライセンスの問題からも問題が多く、実現には至っていない。その代用として、Webにて公開されているデータを自動的にダウンロードし、簡単なデータベースを構築することを検討したが、データ形式がばらばらであることと、季調替えなどのデータ補正が行われるのでそれらの自動化には至っていない。今後の検討課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定であれば、予測マシンのプロトタイプができてるはずであるが、方法論の具体化に時間がかかり、そこまでは行っていない。また、ベースとなるデーターベースの構築に目途は立っておらず、ここについては計画を修正する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
早急にプロトタイプを作るが、手間のかかるデータベースつくりは本質的に見直すこととし、与えられたデータに対して、最適な予測方式を与えるシステムの設計を中心に行う。また、これまでは、マクロ経済時系列を主に念頭に置いた予測システムの開発であったが、今後は金融データに対する予測方式についても開発を進めたい。金融データについてはマクロ経済時系列ほどは他分野の系列を使いことは少ないと考えられ、広範囲のデータベースに頼る必要性は薄いと考えられるからである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は成果の発表や、開発した予測マシンを実装する計算機の購入に研究費を使用する予定である。
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