2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500364
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 整尚 東京大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60280525)
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Keywords | 時系列予測 / 多変量自己回帰モデル / 制限情報最尤法 / 季節調整法 / 逐次予測 / X12Decomp / AIC最適化 |
Research Abstract |
本年度においては予測マシンの実装を行った。本予測システムの目的は、与えられたデータに基づいて、対象となる時系列の将来値を予測するものである。 このシステムの構成は大きく分けて、4つに分けられる。まず第一は、与えられたデータセットの中から、予測の用いるデータ系列の候補を選ぶステップである。対象となるデータセットは数百から数千系列あると想定しているので、すべての系列の組み合わせを試すのは事実上不可能である。したがって、簡易な方法を用いて、30系列を候補として抜き出すことを考えた。ここで用いたのはSIML(制限情報最尤法)と呼ばれる手法で、季節性やノイズが入っていても、2変量間のトレンドの階差の同時相関や相互相関を推定することが可能である。この方法を適用して、目的となる時系列との相関が高い上位30系列を抽出する。第2段階では、これら抽出した30系列と目的となる時系列に対して、季節調整及びトレンド推定を行い、平均伸び率(過去のトレンド値からの伸び率)に変換する。ここでは、本研究課題で開発したX12Decompと呼ばれるソフトウエアを用いて、異常値や構造変化を考慮した変換を行う。第3段階ではこの変換された30系列から最適な組み合わせを探して、予測モデルとなる多変量自己回帰モデルを構築する。この時も、第1段階で求めた目的となる時系列との相関の情報を利用することで、すべて組み合わせを試すことなく最適な(AIC的に最適)結果が得られることに成功した。第4段階では、この多変量自己回帰モデルより、逐次予測の方法を用いて、過去数時点からのVAR予測を行い図示する。 この結果、いくつかの新しい方法を組み合わせることにより、大規模データからの予測マシンが完成した。このシステムは現代のビッグデータ社会において様々な方面で応用されることが期待される。
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