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2011 Fiscal Year Research-status Report

バイオインフォーマティクスによるロイシンリッチリピートの進化、構造、機能の研究

Research Project

Project/Area Number 23500368
Research InstitutionSapporo Medical University

Principal Investigator

松嶋 範男  札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (60137403)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords国際情報交流、モンゴル / 国際情報交流、米国
Research Abstract

ロイシンリッチリピート(LRR)はロイシンを多く含むタンデムリピートの一つである。LRRはウイルスからヒトまで幅広い生物に、1万4千個以上の蛋白質に存在する。LRRドメインは、蛋白質同士や蛋白質とリガンドの間の相互作用部位として使われ、動物や植物の自然免疫機構などの多様な機能発現に重要な役割を果たしている。LRRは20~30アミノ酸残基の長さの繰り返し単位を持ち、分子全体で馬蹄形構造をとる。LRRはその後半部分の配列の違いにより、8つのクラスに分類されている。これまで、LRRを含む蛋白質の分子進化の研究はなされているが、各クラス間の分子進化研究は何もなされていない。 最近、植物蛋白質にのみ存在するとされてきたPlant-Specific LRR (PS-LRR)が、バクテリア由来蛋白質の中にも存在することが明らかになってきている。我々はバクテリアに存在するPS-LRRの起源について研究を行った。我々は11種のバクテリアから20個のPS-LRR蛋白質を見出した。また、そのホモログとして、植物から82個、珪藻から1個のPS-LRR蛋白質を同定し、そのコンセンサス配列はLxxLxLxxNxLSGxIPxxIGxLxxで、バクテリアPS-LRRのコンセンサス配列と良く一致した。任意のアミノ酸が占める"x"位置についても、弱い保存性がみられた。また、古細菌には、PS-LRR蛋白質は全く見られなかった。 これらの結果は、PS-LRRをコードする遺伝子において、植物とバククテリアの間のHorizontal gene transfer(HGT)が起こったことが示唆された。これは真核生物と真正細菌との間の"界"を渡るHGTであり、非常に珍しいものである。このHGTが幅広い生物に存在する機構の一つと考えられる。現在、論文投稿中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究の目的として、次の3つの研究課題を掲げた。(1)新規なLRRクラスの同定と進化研究:我々の開発した方法を用いて、バクテリアからのLRRを含む蛋白質(LRR蛋白質)に存在する新規なLRRクラスを検出し、データベースを構築する。このデータを用いてマルチプルアラインメントなどを用いて詳細な配列解析を実行する。:(2)LRRの水平進化の実証:バクテリアLRR蛋白質に存在する"Plant-specific LRR"ドメインの塩基配列を用いてホモロジー検索を行い、検出された"Plant-specific LRR"ドメインの系統樹を作成し水平進化(HGT)の有無を検証する。:(3)新規な巨大LRR超周期の検出と分子進化 LRR-RLKが重複した仮想的な蛋白質のア ミノ酸配列をクエリーにしたホモロジー検索を行い、巨大LRR超周期を検出する。また、配列解析を実行し進化のスキームを提案する。 そのうち、(2)については、研究結果をまとめ論文として投稿することができた。(1)および(3)についても、配列データの収集を継続している。また、LRRを含むToll様受容体の分子進化について雑誌GENEに投稿し掲載が決定している。さらに、植物のLRR蛋白質(non-LRR領域が介在する特徴的なLRRドメインをもつ蛋白質)についての総説を投稿した。したがって、おおむね順調に進行していると評価できる。

Strategy for Future Research Activity

"研究実績の概要"欄において述べたように、PS-LRRをコードする遺伝子において、植物とバククテリアの間のHorizontal gene transfer(HGT)が起こったことを示唆した。しかしながら、このHGTをより確かなものにするためには、複数の蛋白質のアミノ酸配列を用いた系統樹解析をすることが必須である。そのためには、アミノ酸配列の類似した領域を特定できるように並べるシーケンスアラインメントを実行しなければならない。すなわち、リピート単位を考慮したアラインメントをする必要がある。しかしながら、既存のプログラムClustal W やPRANKではリピート単位は無視する。タンデムリピートにおいては、一般にタンパク質毎にリピート数は大きく異なるため、信頼できるシーケンスアラインメントを実行することができないことが分かった。そこで、今年度、リピート単位を考慮した蛋白質タンデムリピートのアラインメントに適用できるプログラムソフトを開発する。そのプログラムPS-LRRのHGを実証するために使用したい。 また、"新規なLRRクラスの同定と進化"および"新規な巨大LRR超周期の検出と分子進化"の研究のための、配列データベースを構築し、解析を進める。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当初、バイオインフォーマティクス解析用のコンピュータMacProを購入する予定であったが、当大学の研究費で購入することができた。そのため、研究費が残った。この研究費を、今年度、新しいプログラム開発およびデータ整理のために、Bioinformatics Tool を含むプログラムソフトMATLABを購入し、MacPro上で起動させる。 これまでの研究成果を、国際会議にて発表する。トルコ(ニーデ大学)で開催されるThe 2nd International Conference on Computation for Science and Technology (ICCST-2)において招待講演する。また、モンゴル(国立モンゴル大学)または米国(バージニア大学)にて、海外共同研究者と研究の打合せを行う。これらの旅費として使用する。 その他、資料整理のための謝金、論文投稿料等に使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] omega-Helices2012

    • Author(s)
      Enkhbayar, P, Boldgiv B, and Matsushima N.
    • Journal Title

      Current Topics in Peptide & Protein Research,

      Volume: 12 Pages: 17-28

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] バクテリア蛋白質のロイシンリッチリピートの分子進化 (II)2012

    • Author(s)
      宮下博樹, 黒木由夫, Robert H. Kretsinger, 松嶋範男
    • Organizer
      日本生物物理学会北海道支部例会
    • Place of Presentation
      旭川市民文化会館
    • Year and Date
      2012年3月6日
  • [Presentation] ロイシンリッチリピートの分子進化2011

    • Author(s)
      宮下博樹, 黒木由夫, 松嶋範男
    • Organizer
      日本生化学会
    • Place of Presentation
      京都国際会館
    • Year and Date
      2011年9月22日
  • [Remarks]

    • URL

      http://www.sapmed.ac.jp/~matusima/

URL: 

Published: 2013-07-10  

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