2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞産生を制御する増殖因子シグナルの新たな作用機序解明
Project/Area Number |
23500389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 智美 京都大学, 再生医科学研究所, 研究員 (50373311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗崎 知浩 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90311422)
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Keywords | 神経発生 / 脳 / ErbB シグナル / EGF リガンド / ゼブラフィッシュ / 視蓋 |
Research Abstract |
本研究は、ゼブラフィッシュ視蓋とマウス脳をモデル系とし、増殖因子受容体ErbBが神経細胞の産生をどのように制御しているのか、神経細胞の産生過程におけるErbBシグナルの新たな作用機序を明らかにすることを目的とする。これまでに、ゼブラフィッシュ視蓋の解析から、1)ErbB受容体阻害剤の処理により、神経細胞の分化が抑制され、神経前駆細胞の分裂数が減少し、2)ErbB4の発現抑制によっても、神経細胞の分化が抑制されることが示された。また、ErbB受容体のリガンド分子であるNRG1について解析を行い、1)NRG1のアイソフォーム特異的な発現抑制において、神経細胞の分化が抑制され、神経前駆細胞の分裂数が減少していることが示された。これらの結果から、NRG1-ErbB4シグナルは神経前駆細胞から神経細胞の産生を制御していることが示唆された。 本年度は、NRG1-ErbBシグナルが、神経前駆細胞から神経細胞を産生するどの過程を制御しているのかを明らかにするために、生きたゼブラフィッシュ胚を用いたタイムラプスイメージングを行い、さらに詳細に解析を行った。視蓋でGal4を発現する遺伝子トラップ系統に、蛍光タンパク質を発現するプラスミドDNAをインジェクションすることで、単一の神経前駆細胞をランダムに蛍光標識し、ErbB阻害剤を除去後、視蓋神経細胞の回復過程を観察した。その結果、ErbBシグナルは、基底側の神経前駆細胞の分裂を制御することで、神経細胞の産生を促すことが明らかとなった。 また、視蓋神経細胞の産生に、膜型NRG1が必要であり、ヒトNRG1タンパク質の脳室内投与により、NRG1の発現阻害による表現型が部分的に回復することから、膜型NRG1がタンパク質切断されて分泌型として機能し、このNRG1-ErbBシグナルの役割はゼブラフィッシュからヒトまで保存されていることが示唆された。
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