2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500391
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 正 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50311197)
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Keywords | 注意 / 視覚的顕著性 / 視覚探索 / サル / 眼球運動 |
Research Abstract |
視覚的選択が行われる過程では、周囲刺激と異なる刺激は視覚的顕著性が強くなり、我々の自動的に注意を惹きつける(ボトムアップ型注意)。もし探索したい物体の視覚的顕著性が高ければ、その物体を素早く探し出すことができる大脳皮質には複数の視覚領野が存在するが、各領野は得意とする特徴次元が異なるため、異なる特徴次元で目立つ刺激は異なる視覚領野群で表現される。このため、各視覚領野で処理された色、形、動きなどの特徴次元ごとの信号が、唯一存在するsaliency mapに統合されることによって特徴次元に依存しない視覚的顕著性地図が形成されると考えられている。 本研究では、単独の特徴次元(色、または形)、及び複数の特徴次元(色&形)でポップアウトする刺激へのニューロン活動を後頭頂葉から記録し、各条件での応答を比較することによって、個々の特徴次元における視覚的顕著性信号から複数特徴次元の視覚的顕著性信号がどのような加算様式を経て統合されているのかを明らかにすることを目的とする。 2頭のサルに単独の特徴次元(色、または形)、及び複数の特徴次元(色&形)でポップアウトする刺激を視覚探索する行動課題を訓練した。行動データを解析したところ、色と形を組み合わせることにより、目標刺激の視覚的顕著性が増大することが実験的に見出された。Laterモデルを用いて、色と形の単独次元、及び両方を組み合わせたときの顕著性信号強度を定量化した。その結果、2つの特徴次元の加算は線形加算で予測される強度の6割程度に留まっていることが新たに判明した。しかしながら、信号の分散強度は、予測される値よりも大きくなっていた。これらの結果は、単純な線形加算では説明できない非線形な統合過程が存在することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)2頭のサルに対して、視覚探索課題の訓練を施し、探索課題を習熟させた (2)課題を遂行しているサルから眼球運動による行動データ(サッカード潜時の分布データ)を記録した。実験条件によるサッカード潜時分布データと理論モデル(LATER model)を組み合わせることにより、視覚的顕著性信号の統合過程の推察を行い、新たな知見を得た。 (3)課題を遂行しているサルの頭頂間溝外側壁領域からニューロン活動の記録実験を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
訓練済みのサル2頭を用いて、行動課題遂行中の後頭頂連合野から単一ニューロン活動記録を継続して行なう。単独の特徴次元(色、または形)、及び複数の特徴次元(色&形)でポップアウトする刺激へのニューロン活動強度を比較することによって、個々の特徴次元における視覚的顕著性信号から複数特徴次元の視覚的顕著性信号がどのような加算様式を経て統合されているのかを単一ニューロンの活動レベルで明らかにすることを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①サル電気生理実験を行うための金属電極、薬品などの消耗品代、及びサル飼育施設への負担金として使用する。 ②研究成果発表のために参加する学会への出張旅費として使用する。 ③英文論文原稿の英文校閲費、論文掲載費として使用する。
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Research Products
(4 results)