2011 Fiscal Year Research-status Report
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23500402
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
川井 秀樹 創価大学, 工学部, 准教授 (90546243)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | クロスモード / 可塑性 / 聴覚皮質 / 視覚喪失 / コリン作動性 / シナプス電流 / 視床皮質系 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
成果内容:視覚喪失を行なうため、開目後(生後14~15日)すぐに瞼縫合を施し数日間生育したが、安定した縫合状態を維持できなかったため、眼球剥奪による視覚喪失に変更し、その後8~12日間生育させ、以下の研究を行った。(1) 当該年度研究計画の実験1に関して、これまで普通のマウスと視覚喪失したマウスの一次聴覚皮質3、4層における錐体細胞の内因性特徴の違い、およびアセチルコリンによる制御の違いを調べた。これまでのところ顕著な違いはみられていない。(2) (1)の状況を鑑み、聴覚皮質における機能変化の可能性、およびその皮質内の場所(層)を調査するため、麻酔下でホワイトノイズによる聴覚刺激を行い神経活性による転写因子の発現および活性を調べた。神経細胞の可塑的変化に関わると考えられているCREBの活性が、皮質2/3層において普通のマウスより、視覚喪失マウスの方が減少していることが示唆された。(3) (2)を受け、2/3層の神経細胞における神経活性(視床電気刺激誘導性電位変化)の違いを調べたところ、視覚喪失マウスにおいて活性の減少が示唆された。意義・重要性:「研究の目的」の仮定1に関して、視床入力受容層である3、4層の神経細胞の興奮性に変化がみられない可能性があるものの、入力自体の変化による出力の減少による情報処理フィルター効果の可能性がある。また、皮質2/3層の神経細胞における神経活性の減少を示唆する結果は、「研究の目的」の仮定2を裏付ける結果であり、今後の実験に期待がもてる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主に、研究協力者の研究内容の変更を余儀なくされマンパワーの減少が生じたこと、そして実験に不可欠な脳スライスを作製するビブロスライサーに不具合が生じ、効率的に実験ができなくなったことが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、当該年度計画の実験1(Experiment 1)を継続してデータの増加を図るとともに、実験2(Experiment 2)に着手し、3、4層錐体細胞における視床細胞単一シナプスの機能差を解析する。実験2終了後、実験3、4(Experiment 3, 4)に取り組む。なお、実験3、4は「研究の計画」にあるように、刺激を視床と皮質内の2カ所で交互に行い、2つの入力を各神経細胞で同時に記録しデータ収集を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
視覚喪失手術中に小動物体温調節が必要と考えられたが、現在の短時間手術では温度調節装置の購入が不必要になったため、当該年度に「次年度使用額」として約73万円が生じた。当該年度中、ビブロスライサーに不具合が生じたため、実験に必要な脳スライスの作製が難しくなり、研究する上での課題となった。そのため、翌年度の請求額を予定より50万円前倒しで増額させ110万円とし、「次年度使用額」と合わせて約183万円を次年度所要額として、そのうち約150万円をビブロスライサー購入に使う予定である。残額約33万円を電気生理学的実験に必要な消耗品(薬品,電極用ガラス管, 95%O2/5%CO2,動物管理など) に使用する。
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