2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500402
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
川井 秀樹 創価大学, 工学部, 准教授 (90546243)
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Keywords | 神経科学 / 可塑的変化 / 内在的興奮性制御 / 細胞内シグナリング |
Research Abstract |
最終年度において、これまでの以下の2つの研究を継続して行った。①一次聴覚皮質第3・4層での盲目による神経細胞の興奮性の制御、そして②一次聴覚皮質での音刺激による転写因子CREB活性の盲目による変化、である。 ①の研究では、第3・4層における神経細胞の興奮性の制御が、神経伝達物質アセチルコリンによる制御のみならず、高頻度な神経活性によっても生じることが分かった。これらの成果は、静止状態における膜電位の盲目による変化を示唆している。目が見えない状態でその他の感覚機能に依存する場合、より頻繁に使用する感覚系機能の一次皮質神経細胞において、反応がしやすくなるように細胞内で変化が生じたものと考えられる。 ②の研究では、昨年に引き続き健常マウスと盲目マウスでのCREB活性の違いを調べると共に、その活性がどの酵素によって行われているかを調べた。健常マウスにおいては、音刺激によりCREBが活性化されるが、盲目マウスにおいてはそうした活性は見られなかった。なおどちらのマウスにおいてもこの転写因子の発現量は変化していないことがわかった。これらの実験から盲目の結果、発現ではなく、活性を起こす細胞内シグナル経路に変化が生じたことが示唆された。その経路を調べるため、CREB活性を生じさせる酵素の同定を試みた。これまでの研究である特定の酵素が浮かび上がってきた。 今後はこれらの研究を更に進め、盲目による聴覚皮質の細胞および分子レベルでの可塑的変化を調べていく。
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