2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500403
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
齋藤 直人 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (90334226)
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Keywords | 神経科学 |
Research Abstract |
ミトコンドリアのATP合成活性がシナプス部位においてどのように制御されているのかに関して、これまでのところ十分な知見がない。ミトコンドリア内のcAMP濃度が上昇するとこれが電子伝達系を活性化し、ATP合成活性を上昇させるという経路が提唱されている。このような細胞シグナリングはシナプス部位においても重要であると考えられる。それではミトコンドリアcAMPはどのような制御を受けているのだろうか。細胞質基質のcAMP濃度を受動的に受けてミトコンドリア内のcAMP濃度は変動しうると考えられる。一方、ミトコンドリア内には独自のアデニル酸シクラーゼやホスホジエステラーゼを持っているという報告もあり、ミトコンドリア独自の制御システムも共存していると考えられる。このように動的に変化するであろうシナプスミトコンドリアのcAMPをリアルタイムイメージングすることによって、ミトコンドリアの動的な活動とシナプス伝達の相関を明らかにすることができるだろう。そこで、cAMP濃度をリアルタイムイメージングできる新規蛍光プローブを昨年度に作製した。本年度はこのcAMP蛍光プローブをより高感度になるような分子デザインを模索し、これまでのところダイナミックレンジを70%にまで拡大している。このcAMP蛍光プローブをミトコンドリアにターゲットさせることによって、シナプスミトコンドリア内のcAMPを特異的に測定することを目指している。しかし、実際にはターゲット配列を付加してもミトコンドリアには輸送されなかった。これはcAMP結合領域のフォールディングが思いの外早いせいかもしれない。ターゲット配列のタンデム化などいくつかの条件を検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シナプスミトコンドリアの動的な活動に着目し、シナプス伝達と結びつけていくことが、本研究課題の最大の特徴である。この目的のために、初年度から新規cAMP蛍光プローブの作成を試み、細胞質基質のcAMP変動に応じておよそ70%のダイナミックレンジを持つ蛍光プローブの作成に成功している。一方、このcAMP蛍光プローブをミトコンドリアに特異的にターゲットさせる予定であったが、この点に関して未だ成功していない。速やかにミトコンドリアにターゲットさせる方法論を確立する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作成した蛍光プローブを用いて、ミトコンドリアにターゲットするコンストラクトを完成させる。また、蛍光プローブそのものの改良も同時に試みる。ミトコンドリアのリアルタイムイメージングに成功した後に、これを培養神経細胞に発現させ、シナプス部位のミトコンドリアのイメージングを試みる。電気生理と組み合わせることによって、シナプスミトコンドリアとシナプス伝達との相関に新たな知見を見いだす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、蛍光プローブのコンストラクト作成や改良を続けるため、DNA操作に関わる消耗品費に充てる。
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