2011 Fiscal Year Research-status Report
レプチン・メラノコルチン系摂食調節回路と迷走神経の連関を形態学的に解析する
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23500411
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
津森 登志子 島根大学, 医学部, 准教授 (30217377)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | melanocortin-4 receptor / vagus nerve / DMV / pancreas / stomach / duodenum / mouse |
Research Abstract |
今年度は、まずメラノコルチン4受容体(MC4-R)プロモーターの支配下に緑色蛍光蛋白(GFP)を発現する遺伝子導入マウス(MC4-R/GFPマウス)を用いて、腹部内臓への副交感神経節前線維の起始核である延髄の迷走神経背側運動核(DMV)がMC4-Rを発現する上部消化管あるいは膵臓投射ニューロンを含むかどうかを、逆行性標識法と免疫組織化学的手法を組み合わせて共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討した。その結果、DMVに含まれる胃・十二指腸・膵臓投射ニューロンのそれぞれ約半数近くがMC4-Rを発現することが明らかになった。各臓器内においては、胃・十二指腸の筋叢間神経叢の神経節、あるいは膵内神経節の節後ニューロン周囲に、多数のGFP陽性軸索終末(すなわち、MC4Rを発現するニューロンの軸索終末)が接着しているのが認められた。これらのGFP陽性軸索終末は、横隔膜直下で両側の迷走神経を切断して10日経過した動物ではほとんど消失していたことから、迷走神経由来であることが確認された。さらに、Pre-embedding法を用いて電子顕微鏡下で観察すると、迷走神経由来のGFP陽性軸索終末は壁内神経節あるいは膵内神経節ニューロンとシナプスを構築していることが明らかになった。 一方で、胃・十二指腸・膵臓内に分布するGFP陽性軸索終末は、臓器内の神経節のみならず胃・十二指腸の粘膜上皮下あるいは膵臓のランゲルハンス島内にも観察されたことから、迷走神経節状神経節由来の求心性線維の可能性が推察された。よって、逆行性標識法と免疫組織化学的手法を組み合わせて共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討した結果、迷走神経節状神経節の胃・十二指腸・膵臓投射ニューロンのそれぞれ一部がGFP陽性を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた迷走神経背側運動核のMC4-R発現ニューロン由来の遠心性線維と臓器内ニューロンとの連絡路確認だけでなく、迷走神経節状神経節のMC4-R発現ニューロン由来の臓器内求心性線維の存在の発見とその確認作業も加わったが概ね予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続きMC4-R/GFPマウスを用いて、神経路標識法および免疫電子顕微鏡法により以下の通り研究を進めて行く。24年度はまず、迷走神経節状神経節に含まれるMC4-R発現ニューロン(GFP陽性ニューロン)からの軸索終末が、胃・十二指腸の粘膜内、膵臓のランゲルハンス島内でそれぞれ何をターゲットにしているのかを共焦点レーザー顕微鏡を用いて検索する。次にPre-embedding法を用いて、これらのGFP陽性軸索終末部とターゲット間とのシナプス構築を電子顕微鏡下で明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度分研究費800,000円に23年度からの繰り越し分98,098円を加えたものについて、物品費(すべて薬品などの消耗品に使用)として約600,000円、旅費(学会参加費用)として約200,000円、その他(論文投稿費用・別刷り代など)として約90,000円を振り分けて使用予定である。
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Research Products
(3 results)