2012 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚一次中枢・嗅球糸球体の解析:傍糸球体細胞の更なる解析
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23500412
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小坂 克子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60202058)
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Keywords | 嗅球 / 糸球体 / 局所回路 ニューロン / 免疫細胞化学 / ステレオロジー |
Research Abstract |
近年新たなカルシウム結合タンパクとしてsecretagogin(SCGN)が報告された。SCGNは脳内では限られた部位に存在していることが報告されている。本年度は昨年度に引き続きSCGNの発見者であるDr. Wagnerより供与の特異抗体を用い、マウス嗅球のSCGN含有ニューロン(SCGNニューロン)について、免疫染色標本の共焦点レーザー顕微鏡およびカメラルシダ解析による形態的特徴のより詳細な解明、蛍光多重染色標本の共焦点レーザー顕微鏡解析による他の化学的物質との共存関係の解明、ステレオロジーによる定量解析を進めた。SCGNニューロンは嗅球全層に分布し、いわゆる顆粒細胞granule cells,傍糸球体細胞periglomerular cells(PG細胞)がほとんどであると考えられている。しかし、PGグループの免疫細胞学的検討により形態的・化学的にSCGNニューロンは多様で、一部は従来のPG細胞とはかなり異なっていることが示唆された。あるSCGNニューロン群は糸球体内にタフト様突起を伸ばしている典型的なPG細胞で、これらにはしばしば、カルレチニンが共存していた。一方、あるSCGNニューロン群は、糸球体に比較的枝分かれの少ないスパインを有した突起を伸ばし、しかもしばしば、その突起が一つの糸球体から隣の別の糸球体へと延びていた。これは一見superficial short-axon cellsに類似していたが、糸球体内には突起を出さないとされるsuperficial short-axon cellsとは明らかに異なっていた。また、一部には糸球体内に突起を伸ばしてないsuperficial short-axon cellsと思われるSCGNニューロンも観察された。ステレオロジー解析で、糸球体層のSCGNニューロンは1嗅球に約8万個であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、画像解析システムNeurolucida及び同じハードウェアを使用する定量解析システムStereo Investigatorが利用できるようになった。細胞数の測定の標準となっているfractionator法をStereo Investigatorシステムを用いることで各ニューロン群について解析が進みはじめ、これにより研究目的であるニューロン構成の定量的把握ができ始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の、Neurolucida及びStereo Investigatorを利用して、各ニューロン群の定量解析を更に進める。また、この定量解析の方法論を共焦点レーザー顕微鏡で取得した画像スタックにも応用して、正確な定量的方法に基づくニューロンの化学的性質のマーカーの共存関係も明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗体、化学薬品、バイアル等の消耗品費および、実験補助としてパートを雇用する計画である。
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Research Products
(3 results)