2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500422
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
川野 仁 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 副参事研究員 (20161341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 純子(木村純子) 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 研究員 (20142151)
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Keywords | 神経再生 / 脳損傷 / プロテオグリカン / 線維性瘢痕 / TGF-β |
Research Abstract |
今年度は、我々が損傷後の中枢神経系で主要な神経阻害因子と考えている線維性瘢痕の機能と形成機序について損傷実験と培養系を用いて調べた。 マウス脳の損傷モデルにおいてコンドロイチン硫酸とその異性体であるデルマタン硫酸の機能を調べた。デルマタン硫酸を分解するコンドロイチナーゼBをマウス脳損傷部に投与すると、線維性瘢痕の形成が抑制され、神経再生が促進された。これに対して、コンドロイチン硫酸を分解する酵素であるコンドロイチナーゼCを脳損傷部に投与すると、線維性瘢痕は形成されたが、コンドロイチン硫酸が有意に減少し、神経再生が促進された。 ラット新生仔の髄膜線維芽細胞の培養系にTGF-βを投与すると、線維性瘢痕様の細胞凝集塊が形成されるが、事前にコンドロイチナーゼBを投与すると、細胞凝集塊の形成が阻止された。またコンドロイチナーゼCを投与すると、細胞凝集塊は形成されるが、その突起伸長阻害作用は抑制された。以上の脳損傷モデルマウスと細胞培養系を用いた実験結果より、デルマタン硫酸が瘢痕形成に、コンドロイチン硫酸が神経再生の阻害に機能すること示された。 以上の研究成果は、2013年にJournal of Neurotrauma誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、脳損傷後の線維性瘢痕の形成に対するTGF-βの機能を特異的阻害剤の投与実験で調べること、そして脳損傷後に増加するコンドロイチン硫酸およびデルマタン流酸の線維性瘢痕と神経再生に対する作用を明らかにすることを目的としていた。すでに前者の研究についてはは2012年(吉岡ら)、後者については2013年(李ら)に原著論文として発表した。 現在はさらに最近、線維性瘢痕の形成に関与することを見出した血小板由来成長因子(PDGF)の作用を詳しく調べる実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、脳損傷部における線維性瘢痕の形成にはTGF-βとデルマタン硫酸がの関与を明らかにしてきた。それに加え、最近新たに血小板由来成長因子(PDGF)が関与することを発見した。細胞培養系の予備実験では、TGF-βが線維芽細胞の凝集と細胞外基質分子の発現を促進するのに対し、PDGFは線維芽細胞の増殖と移動を促進することを見出した。したがって、両成長因子は脳損傷後の線維性瘢痕の形成において、異なったプロセスに作用する可能性がある。 このことを明らかにする目的で、①損傷脳におけるTGF-βおよびPDGFの受容体の発現を調べ、細胞分裂や細胞外基質分子の局在と比較する。また、細胞培養系を用いて、両成長因子の作用の違いや作用メカニズムを明らかにすることを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、マウス脳損傷モデルとラット新生仔の培養系を用いてPDGFの機能を明らかにする実験を計画している。そのために研究費の使途としては、動物購入代および、脳手術、免疫組織化学、形態学的解析、細胞培養、画像解析などにかかわる経費を予定している。 さらに研究成果の発表にかかわる経費としては、論文の投稿料、掲載料、カラー印刷代、オンライン公開料、別刷料、および学会発表のための出張費とポスター作成料などを予定している。
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Research Products
(9 results)