2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500426
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山崎 恒夫 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80200658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 幸市 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00124652)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | オートファジー / 顆粒空砲変性 / 神経細胞死 / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
多くの神経変性疾患の成立にオートファジーの異常が関与し,形態学的には顆粒空砲変性が出現するとの仮説を立てて,我々は研究を行ってきた。過去の研究の結果,アルツハイマー病の海馬においてこの仮説の妥当性を示すことができ,本申請研究に直結する直近の研究では,神経変性疾患の一つである多系統萎縮症において,オートファジーの亢進と顆粒空砲変性の出現とを示すことができた(J Neurol Sci 297:60-)。しかし,多系統萎縮症に特徴的に出現するGlial cytoplasmic inclusions:GCIとオートファジーとの関連性は明らかにできなかった。そこで我々は,多系統萎縮症におけるライソゾーム系の異常とGCI出現との関連性を明らかにする目的で,様々なライソゾームマーカーの発現を免疫組織化学的に検索した。その結果,多系統萎縮症でライソゾームマーカーの発現が上昇していることを明らかにすることができたが,活性は主としてミクログリアに観察され,二重染色の結果からはGCIとの関連性は不明であった。この結果は本年Neuroreport23:270-に発表することができた。 現在我々は,もう一度オートファジーとGCIの関連性を検索する目的で,オートファジーのごく初期に活性化する蛋白に着目して,多系統萎縮症の脳切片を免疫組織化学的に検索している。また,海馬以外のアルツハイマー病の脳でも,オートファジーの異常がみられる可能性について,多数例での検討を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的に沿って多系統萎縮症の発症における蛋白分解系,とくにライソゾームの関与を明らかにすることができ,結果を論文として発表することもできた。しかし当初の計画では,本年度中にアルツハイマー病を含めた複数の神経変性疾患の免疫組織化学的検索をまず網羅的に行い,続いて,神経細胞内に出現している異常構造物の徴微形態を観察する予定であった。しかし,現時点では免疫組織化学的検索を終了していない。 研究が予定よりやや遅れている理由は,研究代表者が平成23年度より所属施設を移動したことにある。この結果,申請時には自由に利用できた既存の研究設備が一切利用できなくなり,全く新しく研究環境を整え直す必要性が生じた。最近ようやく研究の遂行に必要な設備等を確保できつつあるので,平成24年度は遅れを挽回したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後遅れている研究を円滑に遂行するためには,2つの課題がある。第1は研究設備(実験室を含めて)の確保である。顕微鏡を含めたハードの確保は,現時点でほぼ目処をたてることができたと考える。今後はさらに必要な機材,試薬等の購入を早急に行い,円滑に研究が遂行できる環境を整えたい。第2は人的素材の確保である。研究の申請時には,大学院生の協力が得られる環境であったが,現在はそれを望める環境にない。また,研究代表者自身も研究以外の業務に時間を費やさざるを得ず,研究に専念できる環境にない。そこで,当初の研究計画にはなかった謝金を支払うことで,技術補佐員を得て研究を遂行したいと考えており,そのための人材確保の目処も立ったところである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当研究計画の提出時は研究環境は完全に整っており,研究費は主として消耗品の購入にあてるつもりであった。しかし,たまたま研究代表者は平成23年4月から医学系研究科から保健学研究科へ移動となった。このため,新たに実験室と実験器具の確保を整備し直す必要性が生じた。また,講義・実習等の教育が重視される環境へ移動したことで,研究代表者自身の研究時間が大幅に削減され,また大学院生等の人的援助を得られなくなった。以上の理由で,研究の開始年度であるにもかかわらず研究が思うように遂行できず,予算を計画通りに使用することができなかった。 幸い上記の推進方策に述べた通り,実験室と技術補佐員の確保の目処が立った。また,一部の実験器具の借用について許可を得ることができた。今後は次年度に研究費を使用することで,遅ればせながら研究計画の遂行が可能となったと考えている。 研究費は当初の計画通り,各種薬品・抗体等の消耗品の購入に使用したい。また,研究環境を整備するために顕微鏡画像の撮影・処理のためのカメラとソフトの購入も検討している。さらに,上記に述べた技術補佐員(非常勤)に支払う謝金にも使用する。
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Research Products
(5 results)