2013 Fiscal Year Annual Research Report
攻撃行動を指標とした自閉症、発達障害原因遺伝子の機能解析
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23500427
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小泉 恵太 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (70377406)
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Keywords | 自閉症 / 発達障害 / 遺伝子 / ストレス |
Research Abstract |
本年度は自閉症・発達障害関連遺伝子の候補であるFAM107A/Bに関し、昨年度に続いて研究を推進した。このFAM107A/Bは、アスペルガー、統合失調症、双極性障害と関連するヒト染色体ローカスに存在し(Molecular Psychiatry 11, 2006/Schizophrenia Research 39, 2009)、ヒト死後脳解析から統合失調症、双極性障害者との関連性が指摘されている(Biol Psychiatry. 2008)。 1. 脳発生時のFAM107A/Bの機能を明らかにするため、Transwellを用いたmigration解析をおこなった。この結果、FAM107AはRNAiによる発現減少により、細胞のmigrationが2倍以上に促進されることがわかった。このことから、FAM107Aは脳発生期の神経migrationに関わることが示唆された。 2. 統合失調症、双極性障害に関連するという報告に基づき、ストレスホルモン(グルココルチコイド)との関連性を検討した。FAM107Aでは、PC12細胞にストレスホルモンアゴニスト、DEXを投与した後に発現が有意に減少することがわかった。更に、妊娠マウスへのDEX投与後、または拘束ストレス後の胎児脳での発現が、PC12細胞同様に発現減少していることがわかった。 妊娠中の精神的ストレスによるグルココルチコイド過剰分泌が、子どもの精神発達に大きく影響することは、ラット、マウス研究から数多く報告され、また、ヒトにおいても関連性が懸念されている(J Autism Dev Disord 38: 481-488, 2008)。1. 2.の研究結果はFAM107Aが、このようなストレスホルモンによる胎児期脳発生異常の一因であることを強く示唆している。現在、これまでの研究成果を投稿準備中である。 また、上記研究とは別に、精神的ストレスとの関連性が高いセロトニンについて、胎児期の脳発生との関連性を検討した。Transwellを用いたmigration解析から、セロトニンが5-HT6受容体/cAMPシグナル経路を経て、神経細胞のmigrationに影響を与えることを明らかにした(Biomed Rep. に発表)。
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Research Products
(5 results)