2012 Fiscal Year Research-status Report
脊髄性筋萎縮症原因蛋白質SMNの神経細胞における機能の解析
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23500431
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
鹿島 剛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30459622)
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Keywords | Survival Motor Neuron / RNA binding protein / hnRNP A2 / translatinal control / Spinal Muscular Atrophy / axonal transport / kinesin / ALS |
Research Abstract |
これまでの我々の研究結果より,SMN1/2は核内で前駆体mRNAのスプライシングの過程に於いてhnRNP A1とA2により制御を受け(既に報告済み),更に細胞質内での翻訳の過程にてhnRNP A2によって翻訳効率の調節を受けていることが解った。この成果を、昨年度は海外の学会で1度そして国内の学会で発表したが、これらの発表を通して多少のデータの不備が判明し、現在その不足分のデータを集めており、集計終了後すぐに論文発表する予定である。これらの研究結果は、これまで判っているSMN遺伝子の発現制御機構とは異なり、この遺伝子の生体内での発現の調節全体を理解する上でとても重要であり、今後のSMN(Spinal Muscular Atrophy)の治療法を開発していく上で、新たな分子標的と成り得る事を示唆している。また、最近の海外での学会での情報によると、同様にモーターニューロン病の代表例でもであるALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis)、筋萎縮性側索硬化症の遺伝型の1タイプではhnRNP A2の突然変異が発見された。我々の研究標的であるこのhnRNP A2とSMNを含むモーターニューロン病との深い関連性が初めて同定された。今後この結果とともに我々の結果も注目を浴びてゆくことであろう。従って、現在われわれの行っているSMNタンパク質のモーターニューロンに於ける神経突起末端での局在の動態を解析することは、それらのモーターニューロン病の病気の発症のプロセスに於いて、SMNとhnRNP A2との分子間の相互関係並びにそれらとSMN mRNAとの関係がどのように深くかかわっているか等の命題に答えていく事に繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画の前半部のhnRNP A2によるSMN遺伝子発現における翻訳調節機構の解析に予想以上の詳細にまで解析を進めた結果、時間を予想以上に費やしてしまい、ようやく論文発表の段階に来ていますが、研究計画の後半部は研究予備実験は初めていますがあまり進んでいないのが現状です。更に今後、ラット胎仔の脊髄を使ったモーターニューロン培養を使ったアッセイ系を使った実験を予定しているが、実際国内にはこれらを使いこなす研究所やエキスパートがおらず、私自身で確立していくしか方法がなく、さらなる時間の消費が考えられる。ラットの胎仔の脊髄からモーターニューロンを培養する方法は幾つか報告されてはいますが、1つの明確な確立した方法はなく、ラボによって又は論文によってかなりのバリエーションが存在し、私の目指しているアッセイ系がどの方法に適しているのかを確かめてから使っていく必要があります。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究計画全体に於いて、今年の研究計画実施は今後の成果に於いてはとても重要な分岐点となると思われる。多分、上述しているように乗り越えなければならない課題が多く存在しこの一年で当初の到達目標にたどり着くことは非常に困難と考えられるが、研究者としてできるだけその最終目標に近づけていく努力が求められる。現実的にこの一年で、まず計画の前半部にあたる部分の研究成果を論文発表へ到達することである。このことは履行可能である。一方、計画の後半部ではラットの胎仔を使った脊髄神経細胞培養を細胞内の特に神経突起中を抹消まで運ばれていくSMNタンパク質の動態観察に適した条件設定が必要である。更に、この条件におけるRNAi処理の実行とその効果の判定を行える環境を設定することが重要であり、今後の解析を進めていく上で絶対必要条件となる。前述した実験系の確立に全力を尽くしたい。 これまでに発生した残金は前年度の予算を使用していった上での端数(全予算の1%)であり、今年度の予算の一部として使用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費は、上述したようにラットの胎仔からの脊髄神経細胞培養の確立とRNAi処理を行うアッセイ系の確立にその殆どの時間と経費を費やさなくてはならない。これらの実験系に於いては、神経栄養因子などの高価な製品への出費を含め、またそのアッセイ系における判定に使う高価な抗体等への出費が見込まれます。また、データの信憑性と再現性をえる為にこれらの出費がかさむ実験を繰り返し行う必要がある。更にその後の解析の為に多くの新生児や胎仔のラットを使用しなくなくてはならず、その為のラットのコロニーの形成維持にかなりの予算を(10%)を献上しなくてはやむを得ない。
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