2013 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄性筋萎縮症原因蛋白質SMNの神経細胞における機能の解析
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23500431
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
鹿島 剛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30459622)
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Keywords | SMN / hnRNP A2 / 翻訳制御 / 軸索輸送 / キネシン / SMA / ALS / モーターニューロン病 |
Research Abstract |
昨年の5月、Nature誌に我々の研究しているタンパク質hnRNP A2が一部の家族性ALSでは、変異してその変異したタンパク質が細胞内に凝集体を構成し、TDP-43などの易凝集性たんぱく質の更なる凝集を呼び込んでいることが示された。我々の研究結果は、hnRNP A2の発現量の減少はSMNの翻訳効率の低下を誘導し、その結果SMN産生量の低下を来す。SMNのmRNAは核内でスプライシングを受けた後、細胞質に移動しhnRNP A2/B1との結合を通して翻訳過程にて制御を受け、この時点で、hnRNP A2はhnRNP CとhnRNP Mと今までにない特異的な複合体を形成し、翻訳効率の向上を促していることが解った。この結果は、上記のALSの患者での正常なA2の発現量の低下が推測され、A2のloss of functionの状態から、SMNの産生量の低下を招き、SMAの病態と同じように、下位の運動神経細胞の機能低下に進行することが考えられる。よって、A2のタンパク質とモーターニューロン病との直接の関系に、我々の研究は大いに貢献することであろう。すぐに論文として投稿予定である。 一方で、脊髄の運動神経細胞内でのSMNの軸索輸送のメカニズムの研究は、現在その用いる研究システムの再構築を図っている。当初、胎仔ラットの脊髄から運動神経細胞の初代培養をSMNとキネシンとの動態の観察に用いることを検案していたが、初代培養上の運動神経細胞の数の少なさと、更にその少数の細胞へのプラスミッドの低導入効率が重なり、アッセイ系としての成立に及ばないことが解った。今後は、特にSMNの軸索輸送のメカニズムの研究は、PC12細胞を分化させた細胞系かラットの胎仔の大脳より誘導したニューロスフェアから運動神経細胞を誘導して使う方法を取り、比較的大量に準備された神経細胞にてプラスミッドやRNA干渉の実験を組み合わせて、SMNの軸索輸送とキネシンタンパク質との関係を解析したい。
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