2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胚性幹細胞から作製した筋萎縮性側索硬化症モデル細胞を用いた疾患発症機序の研究
Project/Area Number |
23500446
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
饗庭 一博 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 准教授 (30564752)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 脳神経疾患 / ヒトES細胞 / ヒト多能性幹細胞 / 疾患モデル細胞 |
Research Abstract |
本研究では筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子SOD1の変異型を発現するヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)を作製し、変異型遺伝子を発現する運動神経細胞およびアストロサイトへ分化させたALSモデル細胞を解析することによってALS発症・進行機序の解明を目指した。 特定のゲノム部位(HPRT1遺伝子座)に外来遺伝子を挿入させることができるヒトES細胞株を親株として用い、野生型や変異型SOD1遺伝子を過剰発現するヒトES細胞株を作製した。外来遺伝子はゲノム上の同一部位に挿入されているため、挿入遺伝子以外の遺伝情報は同一である。事実、遺伝子発現量、タンパク質発現量、SOD酵素活性を調べたところ、予想通りに同じ変異型遺伝子を過剰発現しているクローン間では、それらのレベルや活性は同程度に増加しており、有意な差は見られなかった。しかし、異なる変異遺伝子間では、遺伝子やタンパク質発現量、および酵素活性に明らかな違いが見られ、SOD1遺伝子の変異型による転写産物、タンパク質、酵素活性の相違を明らかできた。 野生型や変異型SOD1の過剰発現は、ヒトES細胞の増殖、未分化維持、および染色体安定性に影響を与えなかった。運動神経分化誘導において、親株や野生型SOD1発現細胞と変異型発現細胞との間に、運動神経前駆細胞および運動神経細胞への分化効率に有意な差は見られなかった。さらにアストロサイトへの分化も、その分化効率に差がなかった。これらの結果は、正常型、変異遺伝子に関わらずSOD1過剰発現は、運動神経細胞やアストロサイトへの分化誘導に影響しないことを示している。しかし、ある変異型遺伝子を発現している神経細胞の神経突起の長さを調べたところ、野生型や他の変異型遺伝子発現神経細胞と比べ有意に短くなっていることが分かった。この形態変化がALS発症・進行にどのように関与しているのかは、今後の課題である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] A Chemical Probe that Labels Human Pluripotent Stem Cells2014
Author(s)
Hirata N, Nakagawa M, Fujibayashi Y, Yamauchi K, Murata A, Minami I, Tomioka M, Kondo T, Kuo TF, Endo H, Inoue H, Sato S, Ando S, Kawazoe Y, Aiba K, , Nagata K, Kawase E, Chang YT, Suemori H, Eto K, Nakauchi H, Yamanaka S, Nakatsuji N, Ueda K, Uesugi M
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 6
Pages: 1165-1174
DOI
Peer Reviewed
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