2011 Fiscal Year Research-status Report
グルタミン酸輸送体結合タンパク質欠損マウスにおける記憶力・運動能力向上の機序
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23500454
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
青山 晃治 帝京大学, 医学部, 講師 (00420943)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | GTRAP3-18 / EAAC1 / グルタチオン |
Research Abstract |
本研究では、GTRAP3-18 ノックアウト(KO)マウスを用いて、加齢および神経変性に及ぼすEAAC1/GTRAP3-18のグルタチオン(GSH)産生調節機構を明らかにすることが第一の目的である。神経細胞におけるGSH産生の律速因子であるシステインの取り込みは神経型グルタミン酸トランスポーターEAAC1にのみ依存していること、システインがGSH生成に必要であること、加えてGTRAP3-18がEAAC1を選択的に抑制していることから、神経細胞内のGSH産生はGTRAP3-18に制御されていると考えられる。我々は、GTRAP3-18遺伝子のexon 1をNeo遺伝子で置換することによって作成したGTRAP3-18KOマウスを用いて実験を行った。固定後脳組織切片を用いた組織染色では、KOマウスにおいて神経変性所見は認められなかった。また、脳組織において形態学的な異常やグリオーシスも認められなかった。脳サンプルを用いた検討では、野生型(WT)マウスと比較しKOマウスにおいて脳内システイン及びGSH量の有意な増加を認めた。一方、脳内グルタミン酸、グリシン、およびGABA量については両群間に差は認められなかった。GSH蛍光マーカーを用いた免疫組織染色の結果から、KOマウスにおける脳内GSH量の増加は神経細胞に由来することが示された。脳サンプルを用いたWesternBlot法による検討では、KOマウスにおいて細胞膜上でのEAAC1発現量の増加を認めた。この結果は、脳組織切片を用いた免疫組織染色においても確認された。脳組織スライスカルチャーモデルを用いた検討では、KOマウスは酸化ストレスに抵抗性を示した。また、水迷路試験やロタロッド試験を用いた認知行動学的な検討では、WTマウスと比較しKOマウスが有意に優れた学習能力を持つことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験に関する検討では、当初の研究計画を十分に遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験に関しては、KOマウスにおける脳内GSH増加の機序につきさらに生化学的および組織学的な検討を進めていく。スライスカルチャーを用いた実験では、Amyloid β1-42やMPP+などの神経毒に対する抵抗性についても検討する。初代培養細胞を用いた実験では細胞内シグナル伝達について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
GTRAP3-18KOマウスの維持・管理およびgenotyping費用、免疫染色に必要な各種抗体・マーカー、ELISA測定キットなどの購入費用および、実験用動物(C57BL/6マウス)、その他の試薬や器具類の購入費用として1,300,000円/年を要する。
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