2013 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン型グルタミン酸輸送体の生理的役割:拡散依存性シナプス調節の制御
Project/Area Number |
23500457
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
佐竹 伸一郎 生理学研究所, 生体情報研究系, 助教 (30360340)
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Keywords | グルタミン酸輸送体 / スライスパッチクランプ法 / 小脳 / プルキンエ細胞 / バーグマングリア |
Research Abstract |
細胞膜型のグルタミン酸輸送体(excitatory amino acid transporter, EAAT)は、1分子のグルタミン酸(Glu)を輸送するにあたり、3つのNa+と1つのH+を共輸送するとともに1つのK+を逆輸送する。このためEAATは、Glu輸送と共役した起電性を示す。これまでに、シナプス放出されたGluによって誘発されるEAAT電流(シナプス性輸送体電流:synaptic transporter current, STC)を記録する方法を確立し、シナプス外Gluの動態解析に利用してきた。しかし、この方法で観察できるのはシナプス近傍に局在するEAATに由来する一部の電流に限られており、1個の細胞が担うGlu回収の総量を検討することは不可能であった。そこでこの問題を解決するため、caged Gluを用いたEAAT電流誘発・記録システムの構築を試みた。幼若ラットから小脳スライスを作成し、Glu/GABA受容体阻害薬(NBQX, AIDA, bicuculline)とともにcaged Glu(RuBi-glutamate)を灌流投与した。光パルスを照射してGluを遊離させることにより、電位固定したプルキンエ細胞ならびにバーグマングリアから内向き電流を記録することに成功した。この内向き電流は、EAAT阻害薬(TBOA)により著しく減弱したことから、EAAT電流であると結論した。今後は、この方法に薬理学的手法を適用するなどにより、ニューロンやグリア細胞におけるGlu輸送・回収系の制御機構について検討を進めたいと考えている。
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Research Products
(5 results)