2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500465
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
永福 智志 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 准教授 (70262508)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ニューロン活動 / 霊長類 / 顔認知 / アイデンティティ / 個人的親近性 / 脳梁膨大後部皮質 / 後部帯状回皮質 / 傍嗅皮質 |
Research Abstract |
母子関係に代表される個体間関係(Personal Relationship)の形成が動物の社会性発達に本質的な役割を果たすことはよく知られている.このような個体間関係をもつ特定の個体に対する親近性(Personal Familiarity,以下,個人的親近性)は,顔の認知情報処理に非常に重要であることが示されているが,その神経基盤は不明な点が多い.本研究では,辺縁皮質に属する3つの領域,すなわち,脳梁膨大後部皮質,後部帯状回皮質および傍嗅皮質のニューロン集団による,(1)顔の個人的親近性と(2)顔のアイデンティティの表現様式の相違を明確にすることを目的として,複数のサルを用い,固視課題遂行中のサルの各脳領域から慢性的ニューロン活動記録を行う.視覚刺激として以下(1)~(5)を使用する.(1)個人的親近性のある顔写真: 飼育室で飼育する他のサル,またはサルの飼育に携わっている人物の顔写真.(2)個人的親近性はないが視覚的既知性のある顔写真: サルが実際に見たことのない他のサルまたは人物の顔写真.(3)視覚的に未知な顔写真: (2)と同様に,サルが実際に見たことのない他のサルまたは人物の顔写真だが,訓練に使用されず,ニューロン活動記録時にだけニューロン毎に異なるものを使用する.以上の(1)~(3)の各セットは,複数個体(アイデンティティ)のサルまたは人物の写真からなり,各アイデンティティごとに顔の向きの異なる複数の写真を用意する.(4)種々の物体の写真: サルにとって既知または未知の種々の物体の様々な向きの写真(例:注射器など).(5)種々の風景や建造物の写真: サルにとって既知または未知の風景や建造物の様々な向きの写真(例:サルが実験室へ移動する際に通過する通路など).本年度は,実験環境の整備を終え,サルの行動課題の訓練を終了した.また,サル脳梁膨大後部皮質および後部帯状回皮質からのニューロン活動記録を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験環境の整備を終え,サルの行動課題の訓練も終了し,また,サル脳梁膨大後部皮質および後部帯状回皮質からのニューロン活動記録を開始した.現在これらの領域のニューロン活動を探っている段階である.したがって,おおむね順調な進展状況と思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は脳梁膨大後部皮質,後部帯状回皮質のニューロン活動記録を本格化させる.また新たに傍嗅皮質からのニューロン活動を開始する予定である.万が一,被験動物のサルに事故などが起きた場合は,新しいサルを被験動物に準備し,実験計画に支障をきたさないよう早急に対応する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は種々の国際学会および国内学会への参加旅費などが別途用意できたため,次年度に繰越して使用する予定の研究費が生じたが,次年度はこれらの研究費と次年度以降に請求する研究費と合わせ,種々の国際学会および国内学会への参加旅費および本申請課題の円滑な遂行のための研究支援員の雇用経費にあてたいと考える.
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